ある日、銀行の口座を確認したら記憶にない相手へ送金した履歴が。
セキュリティ対策を行っているパソコンであっても、このような問題が発生する可能性があるようです。その犯人は駆除されても、パソコンのユーザーを偽サイトへと誘導する仕組みを持っている不正プログラム(マルウェア)。このような新手の球威に対抗する手段はあるでしょうか?
駆除されても害を及ぼすゾンビのようなコンピューターウィルスに関する話題を紹介します。
ゾンビウイルスという名前の脅威
特にネットバンキングのサービスを利用しているパソコンに、この種のウィルスが感染すると危険性が高くなります。なぜ駆除した後でも脅威が残るのかという疑問が残ります。
このタイプのコンピューターウィルスは、そのパソコンの通信設定を変更します。
そしていつも利用しているネットバンキングのWeb画面を表示しようとすると、見た目そっくりな偽サイトへ接続するように設計されています。
一度このような通信設定へ変更した後は、例え侵入した「ゾンビウイルス」自体が駆除されたとしても、通信設定はそのまま残ります。それがこのタイプのウィルスが「ゾンビ」と呼ばれている理由です。
ゾンビウイルスに対策はあるの?
まずセキュリティ対策ソフトがこのタイプのプログラムの存在を検知すれば、当然すぐに駆除します。
その後で、通信設定が変更されていないかを確認すれば問題はないわけですが、ある程度の知識が必要とされる部分です。パソコンの通信設定に関する知識のあるパソコンショップなどへ、設定内容のチェックを依頼する方が間違いないでしょう。
パソコンショップなどの外部の業者へ依頼すれば、それなりに時間とお金がかかります。
大至急で対応するとしたら、自分で問題の発生したパソコンを初期化(リカバリ、OSの再インストール)する方法が最も確実。もちろん現在パソコン内にある情報を外付けのストレージなどに避難させる必要があります。それでもこれ以上安心できる対応方法はないでしょう。
ゾンビウイルスの存在を認識すべき
不正プログラムの感染が判明した後で、ネットバンキングの口座から記憶にない出金があったときは、すぐに銀行に連絡しましょう。
日本国内でもこの種のウィルスによる攻撃が報告されています。判明しただけでもすでに666件(2015年4月までの統計)に上ります。
今回紹介した脅威を含めたネットバンキング全体のID、パスワードの盗難による不正な送金は、日本だけで2014年に約29億円の損害を出しています。
不正送信が発覚した直後であれば、利用しているネットバンキングを提供している銀行が不正送金先の口座を凍結してお金を取り戻した例もあるようです。
セキュリティ対策ソフトだけでは財産を完全には守れない時代。ユーザーによる正しい判断と決断がなければ、大きな損害を受けることもあり得るのが現状です。