ZigBee(ジグビー)が実現するセンサーネットワーク

無線ネットワークの利用目的は、必ずしも大容量のデータを送受信することだけに限定されていません。

時代とともに、新しい分野で、無線ネットワークの利用を検討する流れが加速しているようです。

その中でも、これから発展することが予想される分野が、無線ネットワークを活用した「ワイヤレス・センサ・ネットワーク」です。

これは、これまで有線ケーブルを多数配線して行っていた各種のセンサー網を、無線環境を利用したネットワークへ置き換えることによって、低コストで多数のセンサーを設置することを可能とするものです。

 

しかし、本来の通信の目的とは異なった使用方法ですのでいくつかの問題が予想されます。

そもそも、無線ネットワークは、それなりに大きなデータを、いかに早く届けるか、というテーマに従って進化してきました。

それに対して、センサーのネットワークは、通信速度や送信データの容量よりも、いかに多数の端末をコントロールして省電力のネットワークを作り上げるか、という点が非常に重要なテーマとなります。

各センサーから送信される情報の容量自体は、それほど大きなものにはなりません。

また、通信速度も、極端に早くする必要がありません。そのような目的に対応している通信規格の一つが「ZigBee(ジグビー)」と呼ばれているものです。

 

ZigBeeとは?

多数のミツバチ(Bee)が、蜜のある場所を、仲間のハチに教えるために、お尻をジグザグ(Zigzag)に振って、独特のダンスを踊るところから命名されたようです。

多数設置されているセンサーを、ミツバチの群れに例えた、このネーミングは、この通信規格の特徴をよく表しています。

この規格では、多数のデバイスのうち、その1つを「コーディネーター」として選定します。

それが、ネットワーク全体の確立と、新しく参加するセンサー端末の管理を行うことになります。

 

この司令塔の下には「ルーター」と呼ばれるセンサー端末を設定することができます。

このルーターが担当するのは、新しい端末の参加の受付や、他の端末からのデータを、コーディネーターへ中継することです。

また、センサーとしての仕事に対応することも可能です。

このルーターの下には、必要最低限の機能のみを持っている「エンドデバイス」と呼ばれているセンサー端末が存在しています。

ルーター端末が存在しないときは、直接、コーディネーターへ、エンドデバイスのデータが送信されます。

 

ZigBeeはなにがすごい?

この規格では、ネットワーク内に、ルーターの役目を担う端末が、複数存在することによって、ネットワークの多様性が高まります。

つまり、コーディネーターを中心とする単純なネットワーク(スター型)ではなく、複数のルーターを、網の目のように接続したネットワーク(メッシュ型)を構築することも可能となります。

このような複雑な形態のネットワークにも、対応できるところがこの通信規格の特徴です。

 

メッシュ型のネットワークであれば、一部のルーターと、コーディネーターの間の通信環境に問題が発生しても対応可能です。

自動的に、他のルーターを経由して、センサーとして動作している、エンドデバイスの収集したデータを、コーディネーターまで届けることが可能です。

エンドデバイスに付いては、必ずしも十分な電力の供給を受けることができる環境に設置されている訳ではありません。もしかしたら内蔵の電池のみが電源であるかも知れません。

 

そこで、この規格では、必要なデータを送信する以外の時間帯は、基本的に、エンドデバイスを、待機状態(スリープ状態)にするようにしています。

また、コーディネーターや、ルーターからの信号に反応して、頻繁に全機能が起動するようなことでは省電力化は実現できません。

そこで、エンドデバイスは必要なデータの送信以外の時間帯は、ネットワークの機能を切断して、センサー機能のみを起動した状態を維持します。

 

このスリープ状態からの復帰と、ネットワークへの再接続に必要な時間に付いても、独自の技術によって、極力短い時間で対応できるようにしています。

また、データを送信する際には、一般的なWi-Fiなどで使用されているよりも狭い周波数帯を使用してデータを送信します。

更に、同じ周波数帯を、複数の端末が利用することも、可能としています。そのため、データ転送速度の絶対値では、他の通信規格に劣りますが、その代わりに多数の端末をネットワークへ接続することが可能です。

現在の仕様では、1つのネットワークで、最大65535個の端末を設置することができます。その仕様の全てがセンサーネットワークために、最適化された規格であると言えます。

 

ZigBeeの将来

利用目的によって、あらゆる形態に変化できるところが、このネットワークの持っている柔軟性と言えるようです。

これまでのような通信規格では、数日間しか利用できないセンサー端末の内蔵電源の容量であっても、このネットワークを利用すれば、数年間利用することが可能となります。

しかし、将来的には、更なる省電力化技術と発電効率が大幅にアップした太陽光発電を利用して、半永久的に利用できるタイプのセンサー端末が、低価格で提供される日がやってきそうです。