メッシュ・ネットワークとは?

一般的なネットワークの接続方法では、経路の途中で問題が発生すると、その段階でデータの転送は出来なくなります。

しかし、そのようなトラブルに備えて、複数のネットワークを用意するのは、設備コストの面で現実的ではありません。

同じような回線設備を用意しておくコストを考えると、問題の発生した部分を飛ばして、データを送ることができるような仕組みを用意する方が賢い対応を言えます。

しかし、経路の途中を飛ばしてしまうと、通信の確保はどうするのでしょうか?

 

ネットワーク上に存在する複数の中継点(ノード)の中で、問題が発生しても、それに対応して残りの中継点同士で問題のある経路を迂回する形で、新しい経路を構築して、通信を継続できるように設計されているネットワークを「メッシュ・ネットワーク」と呼んでいます。

物理的な配線を敷設する必要のない、無線LANの環境では、この理論を実際に実現する通信規格がすでに存在しています。

それぞれのノード(通信端末)が、ちょうどバケツリレーのような手法でデータを目的地に届けます。

このような動作を「ホップ (hop)」と呼んでいます。

 

メッシュ・ネットワークとは?

ネットワークを構成する端末が、網の目(メッシュ)のような状態で、ネットワークを構築していることをイメージしてこのような名称をつけたようです。

このような仕組みで運用されている、無線LANのネットワークであれば、各端末が発信している無線電波の信号が届く範囲内であれば、複数の端末が故障したり、内蔵電池がなくなったりしても、通信を継続することが可能です。

これに対して、一般的な無線LANのネットワークでは、ネットワークの中心にある無線ルータなどのアクセスポイントに問題が発生すれば、他の端末に問題がなくても、すぐにネットワーク全体が利用できなくなります。

 

アクセスポイントや、その他の基地局を中心としたネットワーク(スター型と呼びます。)では、災害などで、ネットワークの中心となる通信機器に問題が発生すると、残りの端末同士の通信も不可能となります。

そのため、非常時においては、あまり信頼性の高くない接続形態となります。ところが、メッシュ状にネットワークを構築していれば、残った端末同士が、相互にアクセスポイントとして働くことが可能です。

ネットワークを構成している端末の一台でも、インターネットへ接続することができれば、その一台を経由して、他の端末からも、インターネットへ接続することが理論上は可能となります。

 

メッシュ・ネットワークの利点

例えるなら、ローカルなネットワークでも、インターネットと同じように、大きな通信網を築く手法と言えます。

インターネットを構成する通信端末であるルータは、その一部の経路に問題が発生しても、その部分を自動的に迂回することが可能です。

その結果、多少、遠回りになっても、データを目的の端末まで、届けることができるような仕組みによって運用されています。

それと同じような仕組みを、ある一定の地域や、家庭内やオフィス内でも実現できることになります。

現在のところは、この分野で、標準的に利用されているアプリは存在しません。

しかし、各メーカーによって、メッシュ・ネットワークの理想を実現できるようなアプリがいくつか開発されています。

一例としては「FireChat」と言うアプリがあります。

 

iPhoneでも、Android対応のスマートフォンでも利用できる、このアプリは、インターネットや、Wi-Fi環境に接続していない端末同士が、直接接続して、メッセージや、写真などを交換することを可能としています。

もともと、端末に備わっているP2P(ピアツーピア)機能を利用しています。

大災害によって、通常であれば、外出先からでも、インターネットを利用することができるはずのモバイル回線(LTE、3G回線)さえ、機能を停止したような事態を想像してみて下さい。

それでも端末から発信される無線の電波信号が届く、数十メートルの範囲内にいる被災者同士は、何とかメッセージのやり取りを行うことが可能です。

とりあえずは、近くにいる被災者同士の安否確認だけでも、可能となればどれだけ安心できるでしょうか?

このように、メッシュ状に構築されたネットワークは、非常事態に対してはかなり高度な対応能力を持っている仕組であると言えます。

 

メッシュ・ネットワークの対応能力

日本中に増設されているモバイル回線の設備によって、インターネットに接続できないエリアはなくなりつつあります。

それでも、このような通信障害に強いタイプのネットワークが、必要とされているのはどうしてでしょうか?

それは、災害発生時などには、それまでの常識がほとんど通用しない、と言うことが、一般的にも認知されてきたことの現れではないでしょうか。

 

それと同時に、一定の狭い範囲での通信手段として、インターネットや、アクセスポイントなどの設備が不要で、簡易に構築できる面が、評価されている、とも言えます。

また、これから予想される、通信の更なる多様化にとって、必要となる要素を満たしていると評価できます。

今後も、メッシュ的な通信方法を実現するアプリの発展が期待されます。