グリッド・コンピューティングとは?

知り合いの持っているパソコンを、その人が利用していない時間帯だけ借りることはよくある話です。

また、企業内でも、主に外出して業務に対応している担当者であれば、1台のパソコンをその担当者の専用にするよりは、必要な時だけその部署内で共用しているパソコンを、必要に合わせて利用する方が経費削減の面では助かります。

 

このような当たり前の理屈を、更に進めるとどうなるでしょうか?

一つの企業や家庭などのような狭い空間の中で、現在利用していないものを、貸し借りするのではなく、世界規模、地球規模で、利用していないパソコンの能力を貸し借りすることができれば、それは凄いことになります。

 

実際に、その能力を有効利用していないパソコンの数は、どのくらいでしょうか?

おそらく、正確に計算することは、不可能と思われますが、とんでもない数のコンピューターが、電源は入っていても半分寝たような状態ではないでしょうか?

このように、ほとんど利用されていないか、または利用中であってもその能力を使い切っていないパソコンなどのコンピューターの能力を、有効利用することを目的とした仕組みが「グリッド・コンピューティング」です。

 

グリッド・コンピューティングとは?

インターネットなどの広域に広がるネットワークを経由して、地球上に多数存在しているコンピューターの利用されていない計算能力や、記憶装置の利用されていない領域を結びつけることによって、仮想的に存在する、超大型高性能コンピューターを利用できる仕組みです。

対象となるコンピューターの数が増えるに従って、その性能がますます高くなるため、大企業や一部の研究機関などが、高額の料金を支払って利用しているスーパー・コンピューターの性能を実現することが可能です。

 

本来は、それぞれ計算処理の仕様が異なるコンピューターをネットワーク経由で結びつけるには、それぞれの仕様に合わせた処理方法を用意する必要があります。

しかし、グリッド・コンピューティングを実現するには、その手間を省き異なる方法で計算処理を行うコンピューターを同時に利用して、統一的に計算処理を行う必要があります。

将来的には、一般家庭に設置したパソコンなどからでも、この仕組みを利用できるような形態が想定されているようです。

ネットワークを経由して、お互いのパソコンの利用していない計算処理の能力や、余裕のある記憶容量を提供し合うことによって、無駄のないコンピューター資源の活用が初めて可能となります。

 

グリッド・コンピューティングの実際

すでに、この理想を実現するソフトウェアは、いくつか存在しています。これらは「ミドルウェア」と分類されるもので、一般的には、そのコンピューターの基本的な制御を行うOS(オペレーティング・システム)と、実際の計算処理を行うアプリケーション・ソフトウェアとの中間で働きます。

このようなミドルウェアが中間に入ることによって、ネットワークを経由して、他のサーバや、データベースとの間で行う、必要なデータのやり取りを、そのコンピューターのOSの仕様に関係なく共通化して行うことが可能となります。

 

この理想を実現しているプロジェクトとして有名なものが「SETI@home」です。

これは、宇宙から大量に届いている電波信号を、世界中のコンピューターによって解析します。

それによって、その中に含まれているかも知れない「未知の知的生命体」からの信号を探すことを目的としたプロジェクトです。

大量の電波信号の解析には、高額な利用料金を請求されるスーパー・コンピューターを利用する必要があります。

 

しかし、インターネットを経由して世界中のパソコンなどを利用すれば、無料で超高速の計算処理を行うことが可能です。

自宅のパソコンなどに、専用のツールをインストールするだけで、そのOSに関係なくこのプロジェクトに参加できることができます。

現在では、世界中の382万台以上のコンピューターが、このグリッド・システムの一員となっています。

 

グリッド・コンピューティングの将来

これまで、それぞれのコンピューターの性能をいかにアップするかが、メーカーと利用している我々の感心事でした。

しかし、地球上のあちこちで高性能のコンピューターが、ほとんど利用されることなく単なる部屋の飾りと化している現状があります。

一定の利用料金を支払うことで、利用されていない端末の処理能力、という有益な資源を、他の人がインターネット経由で有効利用することを可能とするサービスが、一般化することを期待したいところです。

特に、インターネットを経由したデータ通信の速度が飛躍的に向上しつつある現状では、以前であれば半分夢物語とも思えたこのようなサービスの提供が、現実的な段階に近づいているのではないでしょうか?