クラウドシステム導入の失敗事例

完全な技術など存在しないことが分かっていても、必要以上に依存してしまうところが誰にでもあります。

その技術が最近の流行であり、その問題点に付いてニュースなどであまり聞くことがないとなれば、どうしても依存度が上がってしまいます。

 

しかし、便利な仕組みであるほど、その仕組みを信頼し過ぎることによって、本来の目的を忘れてしまうような事態が起こります。

現在、多数の企業が採用しているクラウドのシステムであっても、その失敗の法則を知る必要があります。

しかし、この完全無欠に思える仕組みでどうやれば失敗するのでしょうか?

 

クラウドを導入する最も大きな理由としては、全てを自社で賄うことにより発生する各種のコストを、大幅に削減できる点を挙げることができます。

このコストは、設備的なものに限りません。

自前で設備を用意すれば、その保守、管理を行う担当者を配置することにより人的なコストも発生します。

 

また、常に、最新のセキュリティ対策を行うために、それなりの費用をかけて、現在のシステムと、設備の定期的なアップデートを、行う必要があります。

そのような自社のシステムを運用することによって発生するコストを、大幅に削減できれば、その企業のクラウド導入は成功したと言えます。

しかし、実際にそのシステムを利用している業務担当者が、クラウドへ変更したことによって、その担当している業務の進行に悪影響を受けていないか、という点も考慮して判断する必要があります。

 

クラウドで失敗とは?

すでに長年使用してきた業務用システムを、クラウドへ移行すれば、これまでのシステムでは可能であった利用方法が、新しいクラウドシステムの上で全て再現できる訳ではありません。

これまでの利用方法のうち、どの程度が新しいシステムでも実現できるかを、事前に確認するのが通常の手順です。

 

このように、旧システムと新システムで、どの程度の利用方法が共通化できるかを、確認することを「フィットギャップ分析」と呼んでいます。

外部の業者によって提供されるクラウドのサービスでは、その利用できるサービスの内容は固定されていますので、これまでの利用方法の全てを新システムで実現できることは期待できません。

 

この部分の確認に時間をかけていないと、新システムに変わった途端に、これまでの業務手法が全く通用しなくなるような事態も想定されます。

これとは逆に、これまでのシステムでは提供されていなかった機能が、クラウドの導入によって初めて利用できるようになる可能性もあります。

 

しかし、新システムの機能を完全に把握していない状態で、利用を開始すると新機能を利用すれば、すぐに完了できる作業を以前と同じ手法によって手作業で行ってしまう可能性があります。

これでは、クラウドへ移行した効果が半減してしまいます。

 

クラウドで失敗はまだある

上記のような新システムの理解度による問題以外にも根本的な問題が存在します。

例えば、クラウドサービスを提供している業者との契約内容によっては、以前よりもコストが増加するような事態も予想されます。

 

頻繁なアクセスが発生しているシステムを、そのままクラウドへ移行した場合に、アクセス数に応じて課金されるプランのクラウドサービスを利用すれば当然ですが、料金が高額になってしまいます。また、あまり利用されていない小規模なシステムを、クラウドへ移行した場合に、月額利用料金が、一定額に固定されているプランを利用したのでは、全く利用していなくても、毎月の料金は減額されません。

 

そのような場合は、使用した時間や容量に従って料金が決定される従量課金のプランを、選択すべきです。

また、当初よりもアクセス数が大幅に増えた場合に、契約しているクラウドサービスの回線速度によっては、アクセスが集中する時間帯になると、提供しているサービスが事実上止まってしまうような事態が起こります。

 

クラウド自体のセキュリティ対策は、そのサービスを提供している業者が行いますが、クラウドを利用している企業内のセキュリティ対策は当然必要です。

クラウドシステムとのデータのやり取りは、インターネット経由で行いますので、その面での対策を省略することはできません。

クラウドと通信する際には、暗号化などの方法で、その企業の極秘情報が流出しないような対策を取る必要があります。

クラウドを導入しても、自社のセキュリティ対策のコストまでを削減することは出来ません。

 

クラウドで失敗は防止可能?

以上のように、クラウドサービス自体は有効であっても、提供されているサービスの内容や料金体系などを十分理解した上で、クラウドを導入しなければ後から種々の問題が発生する可能性が存在します。

特に、現在利用しているシステムでは利用が可能となっている手法が、クラウド上のサービスでそのまま実現出来るとは限らない、という点がもっとも重要なポイントではないでしょうか?