3億年のデータ保存ができる石英ガラスの記録装置

CD(コンパクトディスク)が登場した時には、その小さくてピカピカした円盤の片面の中に、レコードのA面とB面を合計した高音質で、ノイズの混ざっていない音楽を再生できるだけの情報が詰まっていることにまず驚きました。

その後、同じ大きさのDVDや更にBD(ブルーレイディスク)の登場によって、同じ面積に書き込むことのできる情報量には限度がないのではないか、とも思えるような状況となっています。

そして、今回紹介する新技術も、おそらく将来的には、我々をあっと驚かすような新規格の記録メディアとして登場するかもしれません。

 

今回、記録媒体として選択されたのは「石英ガラス」です。

もちろん、これまでの常識ではありえないような量のデータを、保存することができる新技術を開発しています。

では、実際には、どの程度の驚きが相応しい技術なのでしょうか?

 

石英ガラスの記録装置とは?

今回の新技術を開発した日立製作所によると、そもそも石英ガラスは非常に丈夫な材料であり、耐熱性と耐水性に優れています。

実験では、1000度の温度で、2時間加熱しても保存しているデータには影響がないことを、確認しているそうです。

データを保存できる期間を、約3億年としています。この石英ガラスへ、レーザー光線を細く絞って照射することによって、内部にできる小さな泡(1千分の1ミリ程度の大きさです。)を、デジタルデータの単位とします。

この泡を、ごく狭い間隔(1千分の3ミリ程度)で、平面に並べたものを、100層分重ねることによって大容量のデータを記録します。

 

デジタルデータのように、解析して初めて内容が理解できる情報以外にも、文字や写真などをそのままの姿で記録することも可能です。

100層の石英ガラスの中から顕微鏡の焦点を調整することによって、目的の情報が記録されている石英ガラスの層を、見つけることができます。

実際には、100層の下の方にあるデータを読み出す際に発生するノイズを低減する技術の利用によって、記録データの取り出しが可能となりました。

このノイズは、他の層の石英ガラスが映り込むことにより、発生するものです。

 

石英ガラスの記録装置は何がすごい?

約3億年間も、データを守ることができる点だけでもすごいことです。

その記録できるデータ容量は、約2.5センチ角の正方形で、厚さ8ミリの石英ガラスに、約1.5GBの情報を記録することが可能です。

8ミリで100層、という部分もすごいですが、このような技術を利用して、新しい記録メディアが登場したら、どのような仕様になるのか今から楽しみです。

おそらく、超小型で、カード型のメディアになるのではないでしょうか?あまりにも小さいので、アダプタがないとパソコンなどへ接続できないかも知れません。

 

今のところ、この技術を利用しても、パソコンのハードディスクのように、簡単に情報を上書きできるタイプの記憶装置は実現できないようです。

しかし、今後の技術革新によって、いつかはハードディスクのような働きをするようになるかも知れません。

画像を、そのままの姿で書き込むことでできる点を利用すれば、出版物をコンパクトな状態で販売することも可能です。

 

自宅に戻って、専用のビューワーにセットすると、テレビの画面や、パソコンなどの画面で、その内容を表示できるような時代が、やって来るのではないでしょうか?

少なくとも、出版物を保管しているマイクロフィルムの代わりとしては、すぐに利用できそうです。

 

石英ガラスの記録装置の今後

今のところ、開発されたばかりの技術、ということもあり、今後の利用分野などは未定の状態です。

しかし、これからどのような分野で、この新技術を使用した規格が登場するのかは注目したいところです。

 

すでに、今後、打上予定である小型探査機「しんえん2」には、この石英ガラスを使用した記録メディアへ、3億年後へのメッセージを込めた画像や、文字を書き込んだものが搭載される予定です。

石英ガラスの耐久性から考えれば、宇宙空間ように、厳しい環境で使用するには、最も適した記録方法と、言えるのではないでしょうか?