TCP/IPは互換性を提供します

一つの部屋に色々な国からやってきた人が集まっているような場合に、それぞれの人が自分の国の母国語しか理解できないとしたら、どうなるでしょうか?

これをネットワークの世界に置き換えるとしたら、それぞれが異なる通信規格に従って送信されてきた信号が一つのネットワークにやってきたような状況でしょうか?

どちらの場合も、全く意思の疎通をとる事が出来ません。

 

それならば、それぞれの通信規格(プロトコル)に互換性を持っている新しい規格を考えたらどうでしょうか?

これならば、現在の通信規格をそのまま維持しながら、どのような規格に基づいている通信であっても目的を達する事が可能です。

これを、最初の例に適用するとしたら、全ての国の人が理解して、話す事ができる新しい共通言語を考えるということになりそうです(人工言語であるエスペラント語などが該当します。)。

 

TCP/IPとは?

「TCP/IP」は、正確には、通信プロトコルであるTCPと、IPを含めたインターネットで標準的に利用されているプロトコル群全体の総称と言えます。

TCPと、IPが必ず組み合わされるとは限りません。実際には、IPを中心とする標準的な通信プロトコルの総称として使用されることが多いようです。

そのため、最近では「インターネット・プロトコル・スイート」などとも、呼ばれています。「スイート」とは、詰め合わせ、という意味になります。

 

TCP/IPは、コンピューターなどのメーカーに関係なく、すべての通信端末の間で相互に通信することができるように考えられました。

もともとは、インターネットの前身と言われている「ARPANET」の構築に関係した米国の国防高等研究計画局 (DARPA)において、ARPANETの次世代のプロトコルとして設計されました。

この段階で、ことなる通信プロトコル間の違いを、共通するプロトコルを使用することで解決する形となりました。

 

その後、何度か通信試験を繰り返しながら開発がすすみ、ついにインターネットの前身と言われるARPANETは、通信プロトコルにTCP/IPを使用したネットワークへ生まれ変わりました(1983年1月1日)。

この技術が一般的になったのは、1985年に、米国のインターネット・アーキテクチャ委員会(IAB)が、TCP/IPの普及を目指して、250の業者の代表を集めたTCP/IPを紹介する講座を開いてからです。

 

TCP/IPは共通語

現在では、通信に関係するほとんどのOSには、TCP/IPの機能が入っています。

インターネットとは独立したネットワークでも、このTCP/IPを利用して構築することが可能です。

このようなインターネット以外で、TCP/IPを利用しているネットワークを「イントラネット」と呼びます。

通常は、企業や、学校などの比較的大規模なネットワークで運用されています。このイントラネットでも、インターネットと同様に、電子メールや、ウェブサイトや、ファイル転送などを行う事が可能です。

 

TCP/IPを含む通信プロトコル群の中には、一例としては、ウェブサイトをつくる際に使用されるHTTPや、DNS、動画の配信などに使用するUDP、電子メールの送受信に必要なPOP3や、SMTP、インターネット上のIPアドレスの運用に必要なIPv4や、IPv6、実際にデータを転送する際に必要となるWi-Fiや、Ethernet(イーサネット)などの多数の通信プロトコルが含まれています。

TCP/IP(=Internet protocol suite)は、これら多数のプロトコルが、お互いの目的を達成できるように、これらのプロトコルを四つの階層に分ける事で、対応しています。

 

TCP/IPはネットワークを流れる大河

通常は、新しい規格(プロトコル)が登場すると、古い規格の運命は、廃棄されるか、新しい規格に吸収されるかのどちらかでした。

しかし、TCP/IPは、それまでに存在した規格をそのまま残す形で、互換性を持たせるという目的を達成しているところが特徴です。

これからも新しい通信プロトコルが登場することがあると思いますが、それがどのような形になったとしても、おそらく四つの階層のどれかに仲良く納まるのではないでしょうか?