ブロードキャスト・ドメインとは? ルータとの関係は?

引っ越したばかりだと、近所の人の名前すらわかりない状態ですので、引っ越しが落ちついたら、散歩がてら近所を挨拶回りするのが通常です。

しかし、その散歩の範囲が広くなればなるほど、負担が増えてしまいます。

挨拶される方にしても、町内に転居してきたからと頻繁に引っ越しの挨拶に来られてしまうと、その対応でかなり忙しくなります。

 

ネットワークの世界にも、同じような現象があります。同じネットワークに接続された多数の通信端末(パソコンなど)が、不特定多数の相手に対して頻繁に情報を送信すると、同様の事態を招きます。

そのネットワーク全体が、送信された情報で混雑することにより、通信の遅延が発生してしまいます。

それでも、パソコンの電源を入れた直後などには、データ通信には必要不可欠な情報を取得するために、このような動作をおこなう必要があるのです。この動作を「ブロードキャスト(同時通報)」と呼びます。

 

ブロードキャストによる影響とは?

ネットワークに接続されたパソコンなどの通信端末では、データを送信する相手のIPアドレスと、MACアドレスの組み合わせを「ARPテーブル」中に格納しています。

他のパソコンにデータを送信するときは、この情報に基づいて、送信先のMACアドレスを書き込んだフレーム(送信先の情報+送信データ)を送信することで、間違いなく目的地に届けることができます。

ところが、このARPテーブルの情報は、常に最新の情報へ更新するために、定期的に消去されます(たとえば、Windowsの場合は2分から10分で消去します。)。

 

情報が消去されたあとで、再度データを送信するためには、すべての端末に向けて、ARP要求をブロードキャストする必要があります。

それを受けとった端末のうち、送信先の端末に該当する1台のみが、自分のMACアドレスを記入したARP応答を、ブロードキャストをおこなった端末へ向けて送信します(ARP要求は、全ての端末あて、ARP応答は、要求した端末を特定しておこなう。)。

一つのネットワークに数百台の通信端末が接続された状態を想像してみて下さい。

ARPテーブルの中に格納してあるMACアドレスが消去されるたびに、このような要求と、応答がデータ通信を必要とする、全ての端末の間でおこなわれているわけですから、当然ネットワークにとっては、かなりの負担になります。

 

ブロードキャスト・ドメインの効用とは?

「ブロードキャスト・ドメイン」とは、MACアドレスの情報をARPテーブルに格納する目的で送信されたARP要求を、届けることができる範囲のことをいいます。

多数の通信端末が接続している、大規模なネットワークの交通渋滞を解決する方法が、このブロードキャスト・ドメインを利用する方法です。

常にブロードキャストされるARP要求ですが、実はそのネットワーク内だけを対象にして送信する、という特性をもっています。

 

ARP要求の届く範囲に制限があるということは、ルータを介して接続している他のネットワークに接続されている通信端末にたいしては、ブロードキャストをすることができない、ということになります。

この特性を利用して、現在、一つのネットワークへ接続されている多数の通信端末を、ある台数ごとに設置したルータへ接続します。

そうすることによって、ネットワーク全体のパフォーマンスをあげることができます。

それまでの巨大な一つのネットワークから、小規模なネットワークが、多数集合したネットワークの形態へ変更することによって、通信の渋滞を解消することができる、ということです。

 

ブロードキャスト・ドメインとルータの関係

ルータで区切られた、一つのブロードキャスト・ドメインの範囲内にある通信端末から、ルータを経由して、別のネットワークにある他の端末へデータを送信するときは、ルータを含めた全ての端末(同じネットワーク内に限定)に対してARP要求を送信します。

それに答えてルータのみが、自分のMACアドレスを記入したARP応答を、そのARP要求をおこなった端末へ届けることになります。

 

ルータより向こうには、ARP要求が届かないところが、このネットワーク構成のポイントです。

他のネットワークへのARP要求は、常にルータが単独でおこないます。

通信端末は、送信するデータに、ルータのMACアドレスを追加したものをルータに送信するだけで、それ以上の対応をする必要がありません。

ルータ以外にも「VLAN」に対応しているスイッチングハブでも、別のセグメント(ネットワーク)を構成することにより、まったく同じ効果を上げることが可能です。