FDDとTDDは何が違うの?

今後のモバイル通信を語るさいに、よくでてくる単語が「FDD」と「TDD」です。

日本では、FDDを使用して、なぜか外国ではTDDを使用しているとの話もよく聞かれます。

しかし、そもそもこの二つの単語は、なにを表しているのでしょうか?

 

この記事では、今後の通信技術を語るさいには、どうしても理解する必要があるこの二つの単語が意味するものを分かりやすく解説しています。

また、この二つの技術による差は、どのようなものなのか、また、今後の通信業界では、どちらの規格が主流となるのか等の情報を紹介します。

 

FDDとTDDとは?

こんなたとえは、どうでしょうか?二人の人が糸電話で話すとします。

お互いが同時にしゃべると、会話が混信してしまいます。この場合の解決方法としては、もう一つ糸電話を用意して、一方が口につけた糸電話は、あいての耳につけっぱなしにしておく方法と、時間をきめて、お互いが糸電話に話しかけるタイミングを正確にずらす手法があります。

 

このたとえ話で、もう一つの糸電話を用意して、二つの通信チャンネルで送受信するデータの混信を防ぐ方法が「FDD(Frequency Division Duplex)」で、日本語に訳すと「周波数分割多重方式」です。

そして、一本の糸電話を、時間を区切って使用することにより混信を防ぐのが「TDD(Time Division Duplex)」で、日本語に訳すと「時分割多重方式」です。

 

FDDとTDDとは、どちらがよいの?

どちらにも、長所と短所が存在します。

FDDでは、二つの周波数帯をペアにすることにより、同時に電波信号の送受信をおこなうことが可能です。

しかし、それだけたくさんの周波数帯を必要とします。また、この周波数帯があまり接近していると、それによって通信に障害が発生します。

 

といって、あまり離れた周波数帯を利用すると、それを受信するアンテナを同じものにすることができなくなります。

また、TDD方式のように、その通信の利用方法に応じて、例えば、大容量のデータ送信のために送信データ量のみを増やすような対応はできません。

利用できる周波数帯が少なくなっている現状を考えると、多少ぜいたくな通信方法ともいえます。

 

TDDは、少ない周波数帯を有効利用できる点と、送受信に割り当てる時間を調整することにより、たとえば基地局から下りを優先して大量のデータ送信をおこなうことが容易にできます。

また、理論上は、通信相手のいる場所への電波出力を増強することが可能です(ビームフォーミング)。

しかし、送受信の切り替えをおこなった後で、遅れて受信した信号と、次に発信された信号が混ざることにより、通信に問題がおこります。

そのため、送受信の切り替えの間に、電波の発信を停止するわずかな時間をおく必要があります。必ずしも、周波数帯を常時利用できるわけではありません。

 

FDDとTDDの将来

日本では、現在の主要な高速データ通信方法であるLTEが、FDD方式を利用しています。

もう一つの高速通信規格であるWiMAX(WiMAX2+)では、TDD方式でデータ通信サービスを提供しています。

また、WiMAX2+では、TDDを採用したLTE(TD-LTE)との互換性を持たせています。

他にも、SoftBankが、買収したウィルコム(PHSもTDD方式です。)が開発した高速通信の技術を、TD-LTEをベースとするサービスへ発展させて提供しています(AXGP、下り最大で110Mbpsを実現)。

 

諸外国では、特に中国がTD-LTEを熱心に推進しているようです。

将来的には、日本以外の国では、TD-LTEを採用する国の割合が増えることが予想されています。

そのため、WiMAX2+の規格もTD-LTEとの互換性をもたせることにより、低コストでTD-LTEのネットワークを利用できるようにした、という事情があります。

当分は、両方の規格に対応した通信機器が一般的になるのでないでしょうか?

どちらかの通信規格に統一したほうが、メーカーとしても、無駄がなくなるため、一つの規格にのみ対応した通信機器を低額で提供できるわけですが、簡単に決着がつくような話ではなさそうです。