太陽光を化学エネルギーに変換可能、人工光合成の目標とは?

数億年前から地球の環境に合わせて進化を遂げてきた植物。自らが生存している環境を破壊することなく、繁殖を継続した存在です。それに対して歴史の極端に浅い我々は、全く逆の道を歩んできました。

いまさら生活の方法を変えることは困難であっても、何らかの変化が必要なのは誰でも認識しています。もしかしたら植物に学ぶことで、現在の環境破壊を防ぐことができるかも知れません。そんな可能性を感じさせる研究がすすんでいます。

植物のように、人工的な光合成によってエネルギーを作り出すことができるという理想を実現させる人工光合成とは?

人工光合成によるエネルギー改革とは?

数億年前から延々と行われてきた植物の光合成。地球の環境を破壊せずに、毎日空から降ってくる太陽光線と二酸化炭素を利用して、生命維持に必要な有機物を作り出せる理想的な仕組み。これを人工的に実現させようという試みが人工光合成です。

細かく説明すれば、太陽光のエネルギーを利用して水から電子を奪い、その電子によって二酸化炭素を科学的なエネルギーに変換。

最終的には原材料よりもエネルギー量の多い物質を貯蔵する必要があります。

人工光合成の方法はすでにいくつか存在しています。問題はどの程度の変換効率を実現できるかという部分です。効率が低い方法であれば、植物をその場所へ植えたほうが良いのではないかという疑問が出てきます。

人工光合成の現状

植物による光合成の効率は、理論的には約30パーセントといわれています。植物の場合は、このなかから自らが成長するためのエネルギーを取り出す必要があるため、全てを貯蔵できるわけではありません。

実際には太陽光エネルギーの1パーセント前後を、最終的に有機物として貯蔵できるといわれています。

人工光合成の場合は、変換したエネルギーの全てを貯蔵できるわけですから、その変換効率が10パーセントを超えれば、十分実用化できるということです。現在のところ、最も高い効率を実現している方法でも、2パーセント前後です。

植物の場合は、進化の過程で太陽光に含まれている「光子」を有効利用できる仕組みが確立されたことで、高い変換効率を獲得したようです。

水から電子を奪うために必要な光子は、圧倒的に数が少ないという問題が大きな壁となっています。植物は数の少ない光子を集めることができる仕組みを、いくつか備えているということです。

人工光合成によって未来はどうなる?

人工光合成の変換効率が10パーセントを越えた段階で、今後のエネルギーに関する新しい世界が開けます。それは化石燃料からの脱却という、現在の人類にとって最も大きな問題を終わらせることができる可能性があるからです。

さらに人工光合成であれば、新たに二酸化炭素を生みだすこともありません。逆に工場などで発生する二酸化炭素を吸収して、高エネルギーの物質を生みだす設備さえ想定されています。

この人工光合成の分野では、いくつか想定されている変換技術の全てで日本の研究者が先頭を走っているそうです。資源のない日本の技術者によって、地球規模の環境問題を解決できるとしたら、それはまさに「必要は発明の母」ということになります。