デジタル変調 それはデータを効率よく運べる高速通信の原動力

同じ太さのパイプを使って、いかに大量の水を注ぐかという問題をどう解決すれば良いでしょうか?

太さが同じであれば、一度に大量の水を送り出すために高圧のポンプを用意すれば上手くいくかも知れません。

それでは、ポンプで圧力をかけることができないデジタルデータの場合はどうでしょうか?そこには一見デジタルデータには似合わないような解決方法があるようです。デジタルデータの伝送方法に付いて解説します。

デジタル変調による効率アップとは?

あるデータをネットワーク経由で伝送するためには、そのデータを効率よく伝送できる姿に変換する必要があります。

その作業を「デジタル変調」と呼び、できるだけ効率よく大量のデータを伝送できるように複数のルールに従って変調しています。要は「0」と「1」で構成されるデジタル化されたデータを、搬送波と呼ばれる波を変化させることで送信先に伝送するということです。

変調の方法を大きく分けると、搬送波自体の高さを変化させる「振幅変調」周波数(一定時間あたりの振幅数)を変化させる「周波数変調」そして位相(波の形)を変化させる「位相変調」に分かれます。

例えばスマートフォンなどのモバイル端末が使用しているのが、位相変調(PSK)や位相変調と振幅変調(ASK)を組み合わせた伝送方式(QAM)です。

変調方式の進化によって可能となる高速伝送

大量のデータを伝送するには一度の変調で多くの情報を表現できるようにする必要があります。

そのためには変調波の形態を何種類か用意して、それぞれに別の意味を持たせれば良いという結論に至ります。現在では64種類もの波の形状を使って同時に6ビットの情報を伝送する技術(64QAM)が開発されています。

複雑な波の形状によって大量のデータを送信できる64QAMですが、ノイズに弱いという一面もあります。

そのため64QAMを採用しているモバイル回線のLTEでは、電波環境によって、伝送できるデータは少なくてもノイズに強いQPSK(一度に1ビットを伝送)16QAM(一度に4ビットを伝送)などの変調方法へ自動的に切り替えています。

デジタル変調による変革

「0」と「1」で構成されているシンプルなデジタルデータを伝送するために、複雑な変調波を利用しているという点は少し不思議に感じる部分でもあります。

実際には複雑に見える変調波も、細かく分析すれば、それぞれが「0」と「1」を表示しているに過ぎません。

そして、これから先も変調波はさらに複雑化して、より大量のデータを伝送できるようになるでしょうか?

複雑化するほどノイズに弱くなるという性質があるため、まずはノイズに強い変調方式を開発する必要があります。

特にモバイル回線では利用できる周波数帯域に限界があるため、一度に運べるデータをいかに増加させるかという問題を、永遠に追い続ける必要があるでしょう。

この挑戦は終わりがなく、常に結果が求められる厳しい世界です。それでも通信量の増加を支えるためには、避けては通れない道となるでしょう。