デジタルジレンマに対抗するアナログ的な手法がETERNA-RDS

最近の映画を観れば、ほとんどの場面をデジタル的な技術を利用して撮影していることがわかります。

使用している機材もほとんどがデジタル化されている現実からすると、映画を保存する方法もデジタル的な手法であることが予想されます。

ところが実際には昔ながらのアナログ的な技術を利用して映像作品を保存しているようです。それにはどのような事情があるのかを解説します。

ETERNA-RDSはなぜかアナログ方式のフィルム

富士フイルム社が開発した保存専用のフィルムが「ETERNA(エテルナ)-RDS」という製品です。

現在、映画の世界でも撮影機材や編集機材などがデジタル化しているため、完成した作品を保存する手段としてもデジタルデータ化して保存する方法が主流です。

結果として映画の世界では、フィルムが姿を消しつつあります。

それでも保存用に開発されたこの製品は高く評価されているようです。2012年には「映画芸術科学アカデミー」で科学技術賞を受賞しました。

この製品では映像作品を青、緑、赤の3色に分解してそれぞれ黒白のフィルムに記録します。復元した映像がオリジナルの映像と比べても遜色のない出来上がりである点を高く評価された結果、米国の大手映画会社である20世紀フォックス社が採用を決めたそうです。

保管状態が良ければ、500年間は安定した状態で映像を保存できるというこのフィルム、昔の方式ということで軽くみることはできません。

ETERNA-RDSはデジタルジレンマに対応

デジタル化した映像作品をそのままの状態で永久保存できるかというと、実は全く違います。

それはデジタル化したデータを保存するメディア(ハードディスク、フラシュドライブ)に関しては、次々と新しいタイプが登場するからです。

これは、すでに確立した技術であるフィルムのような製品では、予想できない状況です。

どの方式であっても保存したデータが劣化する可能性がありますから、新しいメディアが登場するたびにデジタル化された映像データを入れ替える必要が出てきます。

このようにデータをデジタル化すると逆に管理コストが増える状況を「デジタルジレンマ」とも呼ぶようです。

その点、すでに技術的に問題のないレベルに達しているアナログ的な手法の方が、映像作品の保存には向いているということです。

ETERNA-RDSの期待寿命は500年

適切な管理を行えば、500年後まで映像作品の質を落とすことなく保存できるETERNA-RDS。

もしもデジタル化した状態で同じだけの期間データを保存するとしたら、何回くらい新しいメディア型式の記録装置へデータを引っ越す必要があるでしょう?

アナログからデジタルへ進化したはずが、これでは全く逆転した状況です。

最近のデジタル技術のなかには、このフィルムと同じ程度の保存期間を可能とするものがいくつか開発中ですから、いつかはデジタルジレンマが解消される日がやって来るでしょう。それでやっとアナログ式フィルムの長い歴史が終わるかも知れません。