誤差5cmの世界 オーストラリアで実証される無人の農作業とは?

無人の農場で黙々とロボットが畑を耕している風景。

このようなSF映画に出てきそうな状況も夢ではなくなりそうです。それは正確な位置測定が可能となったことと深い関係があるようです。

無人化したトラクターがせっかく育った作物の上を走り回っては困りますから、正確な位置を測定する技術が必須となります。今回はその測位の精度を確認する検証が成功したという話題を紹介します。

オーストラリアで実証される無人の農作業とは?

日立造船、日立製作所、ヤンマーの3社によって、実証実験が行われたロボットによる「精密農業」。

無人作業において、誤差5cm以内の精度を目指すという新しい形態の農業の可能性を確認する検証でした。

この調査の目的の1つが準天頂衛星からの高度測位信号を利用して、オーストラリアの農場で精密農業を行う際に、最も相応しい測位方式の確認です。

現在、3種類の測位方式が検討の対象となっているようですが、どの方式も準天頂衛星からの信号を受信する点は共通しています。

ところが衛星からの信号を補正するために別の基準点を利用するかどうか、及び何を基準点にして補正するかによって3種類に分かれます。この測位信号を発信している準天頂衛星は現在1基ですが、2018年からは4基体制で運用する予定となっています。

無人の農作業に必要なのは高い測位精度

一般的に利用されているGPS衛星からの信号を利用した測位は、その測位信号のみを利用して位置を特定する精密単独測位方式(PPP方式)であり、その精度は10~20cmが限度と言われています。

それに対して準天頂衛星からの測位信号を補正して利用すれば、誤差5cm以内で無人のロボットトラクターを走らせることが可能です。

実証実験では、植えた稲と稲の間をこの無人トラクターのタイヤが通る「条間走行」に成功しています。

この衛星は日本からオーストラリアまでの上空を、8の字を描きながら飛んでいるため、その範囲内にある他の国でも活用できる可能性があります。無人のトラクターにはその他にも農作物の成長を監視する生育センサーを搭載。

収集された生育データと走行データは、統合されてパソコンの画面上に可視化されます。この実証実験は日本の総務省が管轄しているプロジェクトの一環であり、日本とオーストラリアの研究機関が多数参加しています。

農業無人化の可能性

今回の調査によって農業無人化の可能性が確認できれば、精密農業事業の発展を支援する体制を整えることになるでしょう。

最終的には、日本とオーストラリア以外の国へも導入を進める方針です。測位信号を発信している準天頂衛星が上空を飛んでいる国であれば、この方式で農業を行うことができる可能性が高くなります。

このようにかなり可能性のある新方式の農業と言えるでしょう。特に日本では農業人口の減少と従事する人の高齢化が問題となっています。

体に負担のかかる作業のほとんどをロボットが対応できるような方式であれば、どうでしょうか?少ないスタッフで大規模農場を運営して、低コストで大きな利益を得る道も開けるでしょう。