ウェアラブル・コンピュータは身に付けるコンピュータ

一部屋を独占していた初期のコンピューターから、手のひらに乗る程度の大きさになるほどのコンパクト化を成功させた歴史は、地球上の生物が進化するスピードに比べると異常に早いものです。

結局は体の一部になるまで行かなければ、このコンパクト化という進化は止まりそうにありません。次の世紀になれば、おそらく体の中に簡単に埋め込めるような形態になっているでしょうか?

もしかしたら傷口に貼り付けるバンドエイドのような形状になっているかもしれません。

現在のように身につけることを目標として開発されているコンピューターを「ウェアラブル・コンピューター」と呼んでいるのは「身につける(wear)」ことができるところがポイントだからです。すでに各種の製品が利用されていますが、今後も体の一部になることを目指していくのでしょうか?

ウェアラブル・コンピューターとは?

ウェアラブル・コンピューターとは、服や腕時計のように常に身につけておくことができ、必要であればすぐに利用できる形態をとっているコンピューターのことです。

コンピューターが登場する以前にも、同じ目的で利用されていた機器は存在していました。そもそもアナログ式の腕時計自体が、置き時計の前まで行かなくてもすぐに時刻を確認するために考案されたことは明白ですので、これもウェアブルな製品と言えます。

一定の場所に訪問することなく必要な用件を済ませることができる仕組みを、常に開発する習性を持っているのが、われわれ人間であるということでしょうか。

たまたま、その対象がコンピューターである場合に、ウェアラブル・コンピューターと呼んでいるにすぎません。しかし今後のわれわれの生活に対して、非常に大きな影響を与える存在となることは間違いありません。

ウェアラブル・コンピューターの現状

携帯電話と一体化したスマートフォンは、すでに一般的な存在ですが、現在ではその機能を腕時計型の端末から利用できるようにする製品が登場しています。最終的には、そのような形態の端末によって、音声通話を含めた全ての機能を利用できるようになることが予想されます。

問題はモニター画面が狭くなればその端末の操作性に問題が出ることですが、すでに声によって操作を指示する機能が一般化しています。

ただし、声を出せない状況では別の手段が必要になりますので、その端末に付いているボタンを組み合わせて押すことによって、操作を行う方法が想定されています。その他にも大画面のモニターへ無線ネットワークを経由して画面を表示させたり、メガネ型のモニターへ画面を投影させたりする機能の搭載が今後必要となるでしょう。

その他の分野でも、まさに「身につける(wear)」タイプの製品が登場しています。例えばトレーニングウェアに通信端末を内蔵した製品が提供されています。

これは、手もとにあるスマートフォンと通信する機能を持っています。しかし、将来的には、その製品単独で全ての機能を実現できるようになることが予想されます。全ての機能を搭載した製品を着るか、そばにあるハンガーにかけておくだけで他には一切の機器が不要となれば、どれほど部屋の中がスッキリするでしょうか?

机の上にはモニターとキーボードだけが必要で、それらの周辺機器が服の中に内蔵されている通信端末とワイヤレスで接続できるような世界です。その時代にはモニターとキーボードも別の方式に変わっていることが予想されますので、もしかしたら机の上には何も必要としない環境が実現するかもしれません。

ウェアラブル・コンピューターの最終形

想像すればするほど、ウェアラブル・コンピューターの可能性を感じることができます。しかし最終的には人間の体とコンピューターが一体化する方向になることが予想されます。人間の体温などを利用して発電することによってコンピューターの電源を充電する必要がなくなれば、コンピューターと一体化していることすら忘れるかもしれません。

コンピューター自体の不具合の改修や、新機能の追加は現在と同じように無線ネットワークによって自動化すれば、一度身につけた端末を取り外す必要さえなくなります。人間が誕生すると同時に、そのような機能を持っているウェアラブル・コンピューターを体に取り付ける儀式が行われことが習慣化するかもしれません。コンピューターに支配されるのではなく一体化する方が楽しめそうに思いますが、どうでしょうか?