営農型の太陽光発電システム(ソーラーシェアリング)の実現

さんさんと輝く太陽と、大地という組み合わせからは、農家が実った作物を収穫する場面を連想するのではないでしょうか?

しかし太陽から連想するのはそれだけではありません。例えば太陽発電を連想する人もいるのではないでしょうか?

どちらにしても、この2つが同じ場所で共存している場面を想像できる人は少ないと思います。ところが実際には、その2つが共存している大規模な農場が日本国内で運用されています。しかし誰でもこの話を聞いたら、不思議に感じることがあると思います。

そもそも太陽電池のパネルが設置されると、せっかくの日光が十分に届かない訳ですから、大きな収穫を得ることはできそうにありません。

しかし、その常識に反する仕組みが「営農型の太陽光発電システム(ソーラーシェアリング)」と呼ばれているものです。農業と太陽光発電という一見すると矛盾するように思える2つの行為が両立することが、本当に可能なのでしょうか。

これは農作物の生育を犠牲にして存在する太陽光発電なのでしょうか、それとも作物に影響を与えないような設備を用意しているのでしょうか?

ソーラーシェアリングとは?

ソーラーシェアリングとは、農地の上に太陽光発電のパネルを設置することによって、作物の収穫と電力の両方を取得することができるシステムです。

パネルの設置によって作物の収穫量に影響が出るのではないかと予想されますが、そこにはある事情が存在しています。つまり太陽光の全てを作物が受ける必要はない、というよりも、一定以上に強い太陽光線が直接当たることによるデメリットを防ぐ意味でも、太陽電池パネルの設置は有益である、ということです。

例えば稲を例にすると、太陽光の約55パーセントをこえる日光に関しては、その生育には影響しないとのことです。

つまり日光による炭酸同化作用が発生しない、ということになります(光飽和点の存在と言います。)。それならば日光の55パーセントをこえる部分を太陽電池パネルが受けても生育には問題ありません。しかしメリットはそれだけではありません。

ソーラーシェアリングのメリットはまだあります。

農地の上にパネルが設置されると、さらに予想外のメリットを受けることになります。

まずは暑い時期には、農作業時の直射日光を防ぐ日よけとしての効果が期待できます。また作物に与えた水の蒸発を防ぐ効果と、土壌が必要以上に乾燥することを防ぐ効果もあります。この結果として農業にとって、最も重要な要素である農地の環境が向上することが予想されます。

本来は農地に太陽電池のパネルを設置して発電を行うと、法律面で問題が発生します。しかし農業と同時に行う場合に限っては、3年間の期限付きではありますが「一時転用許可」を受けることが可能でこの期間内に農作物の生育に一定以上の影響がなければ、一時転用許可を更新することが可能となります。まさに農作物と発電で太陽光を「シェアリング」する状態となります。しかもお互いに迷惑をかけない訳ですから一石二鳥の効果を得ることができます。

ソーラーシェアリングの可能性

天候が収穫に影響する農業の世界で太陽光発電を行うことは、事情を知らない人には理解しがたい行為ではありますが、これは農業に対する一般的な認識を変えるだけの効果がありそうです。

何らかの理由によって農作物の収穫量が予想よりも少ない場合や、市場価格の低下などによって思ったほどの収入がなくても確実に収入となる手段が存在することは、農業を行っている人にとって非常に有り難い話となります。

これから農業をはじめることを検討している人にとっても、同じ農地を利用して農業以外の収入を得ることができる仕組みが存在することは、大変心強いことでないでしょうか?

太陽電池の発電能力向上と、価格低下によって以前よりも現実的になってきた太陽光発電です。このようなビジネスモデルの登場によって、農業も悪くないと考える人が増えることが期待されます。そうなれば輸入に頼らなくても、安全で美味しい農作物が安価で提供されるようになり、日本国内の消費者も安心することができます。