ゲルマニウム(Ge)トランジスタの復権は間近?

すでに過去の存在となっているはずの技術が注目を集めることがあります。また技術の進歩によって新しい素材にその座を譲ったはずなのに、さらなる性能向上を目指すために昔から使用されていた素材が再登場することもあるようです。

コンピューターを構成する主要なパーツであり、情報処理の速度を向上するためには、最も重要な存在となるトランジスタの世界では、半世紀前に主役の座から降りたはずの素材であったゲルマニウム(Ge)が復権しそうな状況です。

このような最先端の分野で、過去に利用されていた材料が再度利用されることには疑問を感じる部分もあります。

このような選択をするには、どのような理由があるのでしょうか?しかし大幅な性能アップにつながるのであれば、そのような選択も必要となります。

ゲルマニウムトランジスタとは?

ゲルマニウムトランジスタとは、シリコンによって製造されているトランジスタの性能の限界を突破するために採用される材料として、現在期待されているものです。

シリコンを材料としたトランジスタは、その微細化を進めることによって大幅に性能を向上することに成功しました。

ゲルマニウムは、もともと現在のシリコンが登場する前の時代に利用されていた材料であり、その後の技術の開発によって材料自体が固有に持っていた弱点を克服することよって、再び採用されることになりました。

材料としてシリコンに主役が移行した時代にも、材料として本来の特性だけを比べるとシリコンよりも優れていることは分かっていましたが、製造技術の面での限界によって、その特性を生かすことができませんでした。

具体的にはトランジスタの性能を向上するためには、材料ごとに固有の「キャリア移動度」が問題となりますが、その点ではゲルマニウムの方が優れています。このキャリア移動度とはトランジスタのような半導体の世界では、電子および正孔の移動のしやすさを示します。

ゲルマニウムトランジスタの復権

シリコン製トランジスタの性能を向上するために、その微細化を進めてきた訳ですが、それにも一定の限界が見えてきました。

そこで安定した絶縁膜を作成することが困難であるために、トランジスタの材料として利用されていなかったゲルマニウムの特性が、注目されるようになりました。

現在では、シリコンを使う場合と同じレベルに微細化されたトランジスタを作製する技術が開発されつつありますので、将来的には材料の特性をそのまま完全に生かした製品の登場が予想されています。

実験のレベルではシリコン製のトランジスタに比べると、2倍以上の性能を実現することが確認されています。また単に電子と正孔の移動度が高いだけではなく、消費電力の面でもシリコンに劣らないことが確認されていますので、今後は基盤の微細化を進めることが課題となります。

多数のトランジスタ回路を集積したLSIを作製する場合には、N型とP型と呼ばれる2種類のトランジスタが必要となります。このうちN型トランジスタに関しては、ゲルマニウムを採用した場合シリコン製のトランジスタに劣る部分があるようですが、その点も新技術の開発によって解消されつつあります。

ゲルマニウムトランジスタの可能性

以上のように完全にシリコンとの立場が逆転しそうな状況となっていますが、以前の主役が戻ってくる、という話が最先端の集積回路の分野で実現することには、多少の驚きを感じます。

それと同時に、過去に利用されていた技術や材料であっても、その後の新技術の開発によって復権させることができる可能性が、他の分野でも存在しているのではないか、と考えてしまいます。

もしかしたら過去の話として扱われている古人の知恵を再確認することによって、新たな世界を開く鍵を発見することができるかもしれません。

コンピューターの世界においては、さらに能力を向上したパーツを採用した新しい製品が登場することが求められています。

しかも小型化と省電力化を同時に実現することが必要ですので、非常にハードルの高い目標値が設定されています。今後も技術的な進歩を継続するには、過去の技術の再利用を積極的に検討する必要があるのかもしれません。しかし過去の理論が再び脚光を浴びることは、何故か気になるニュースではないでしょうか?