サブGHz帯を使用した無線通信の可能性

無線通信を利用したサービスでは、その通信規格で利用している周波数帯によって利用する分野が異なるようです。

その規格がwi-fiであれば通信速度が最も重要であり、届く範囲を犠牲にしても大量のデータを送信できる帯域を採用する必要があります。

また、携帯電話で利用されるネットワークであれば、通信速度と信号を届けることができるエリアの両面でバランスの取れている周波数帯域を、俗に「プラチナバンド」と呼んで、各通信会社がその獲得に懸命になっています。

しかし、このような用途以外にも利用されるようになった無線通信の分野もあります。それは各家庭に設置した各種のセンサーなどで利用されるネットワークで、必要となる周波数帯域です。

そして、このような用途で利用されることに適している周波数帯域が「サブGHz帯」と呼ばれているものです。単にデータ転送速度だけを優先するのではなく、信号が届く範囲を含めてバランスのとれた通信環境を満たす必要がある場合には、このサブGHz帯を採用した通信端末が必要になるようです。

サブGHz帯とは?

サブGHz帯とは、一般的には、1GHzよりもやや低い周波数帯域の総称です。

その中でも日本国内では「920MHz帯」米国では「915MHz帯」欧州では「863MHz帯」が特に注目されています。これはスマートメーターなどに代表されるIoT製品のように、未来の社会を支える各種インフラの維持管理および農業などの分野で活用されることが見込まれています。なぜ、この周波数帯域が注目されるかについては、もちろん理由があります。

それは転送速度こそwi-fiやBluetoothのネットワークに劣りますが、電波自体は遠くまで届きますし、障害物に対する回り込み特性の面でも優れています。

障害物がなければ1キロメートルその他の場合でも数十メートル程度の到達距離が期待できます。また消費電力の面でも優位に立ちますので多数の通信端末を設置する場合には、非常に適した電波形式となります。大量のデータ転送を必要としない分野であれば、最も適した通信形式と思われます。

サブGHz帯の利用価値

日本国内では2015年から東京電力が、この周波数帯域を採用してスマートメーターから電気使用量を電力会社へ送信するシステムの運用開始を予定しています。

このシステムでは30分ごとに家庭内に設置したコントローラーに対して、電気使用量を送信する機能の搭載を想定しています。さらに設置されているスマートメーター同士が独自のネットワークを構築することによって、他のメーターを経由して収集したデータを転送できるようにすることも予定しています。

これは「マルチホップ伝送」と呼ばれている方式であり一部の機器がインターネット回線に接続しているだけで、同じセンサーネットワークに接続されている全てに機器のデータを転送することが可能です。

マルチホップ伝送方式を採用している場合、そのネットワークを構成している一部の端末に問題が発生してセンサーネットワークから外れても、すぐにそれを除いた残りの端末間で新しいネットワークが構築されるように設計されています。

現在この方式の採用が予定されている分野としては、河川やトンネルなどの監視や維持を行うために設置したセンサーカメラ同士が独自のネットワークを構築する際に、この周波数帯を利用することが想定されています。すでに一部のメーカーでは製品化されているようですが、信号の到達距離が最大で1キロメートルとなると、このような分野では非常に利用しやすい通信規格となります。

サブGHz帯の可能性

周波数帯域が少しずれるだけで、その性質が変わることは不思議な話ですが、その特性を生かすことによって新しい分野で活躍できる訳です。

今後も宅内に設置される電化製品のネットワーク対応が進めば、この周波帯を利用した機器が多数を占めるようになるかもしれません。それほどバランスのとれた帯域であれば今後も技術革新が進むことによって、通信速度の面でも進歩することが予想されます。

この周波数帯を有効利用した地球規模のセンサーネットワーク網が拡大することによって、ほとんどの場所が通信可能な状況となれば、将来どのような生活が実現するのでしょうか?