NFVでネットワーク機能を仮想化

現在の仮想化技術は、これまで高額な通信機器によって実現することが通常であったはずのシステムを、ソフトウエアによって置き換える、という流れを作り出しているようです。

携帯電話などの大規模な通信システムの機能を仮想化して、一般的に利用されているタイプの汎用サーバーの中で実行できれば多くのメリットを生むことになります。

このように、これまで専用の通信機器で対応していたネットワーク関係の作業を、ソフトウエアによって仮想的に提供された環境が代わって行う方式を「NFV(ネットワーク機能仮想化)」と呼んでいます。

NFVとは?

NFVとは、これまで専用の機器を設置して対応していたルーター、ファイアーウォールなどの機能を、サーバー内で仮想的に構築された環境によって置き換える技術です。

特に通信業者にとっては、これまでのように高額な専用機器を用意する必要がなくなります。そのためネットワークの運用コストを大幅に削減することが可能となりますが、それだけではありません。

運用しているネットワークに対するアクセスが一時的に増加しても、仮想環境を構築しているサーバーの数を増やすなどの対応によって柔軟に対処することが可能となります。

また新機能を追加する場合も、単に仮想環境の中にそれを追加すれば足ります。これまでのように新機能を追加するたびに、専用の通信機器を設置する必要がありませんし、ネットワークに障害が発生しても、仮想環境を提供しているソフトウエアの改修によって対応できます。

国内の通信業者では、すでにNTTドコモが2014年中に、NFV環境を構築する機器やソフトウエアのメーカーが異なっても、ネットワークに問題が発生しないことを検証しています。

NFVの実現する世界とは?

複数のメリットが予想される新技術ですが、主に設備投資や運用コストの削減と、提供するサービスに及ぼす影響が特に重要です。

複数の機器で提供しているサービスを、1つのサーバーによって対応できる形に変更すれば、その調達費用も設置場所も節約できます。さらに運用する機器の数が減少すれば消費電力の面でも有利になります。

運用面でも、これまでのように設置した専用機器ごとにメンテナンスを行う必要がなくなりますし、新サービスの開発、テストも仮想環境によって行うことが可能となります。

新サービスの追加に関しても、関連するソフトウエアを仮想環境にダウンロードすることよって、すぐに提供が可能となります。また特定の地域や顧客のみに特化したサービスの提供が容易となります。このように多数のメリットがある新技術の特性を最大限に生かすことができれば、これまで資金面で通信業界に参入することができなかった企業でも、新たなチャンスを獲得できるようになりそうです。

現在、各国の通信業者が協力して開始したプロジェクトである「OPNFV」やNFVの標準化団体であるETSIなどが、NFVを採用したプラットフォームを構築するために活動しています。通信会社が、そのサービスで利用するソフトウエアとなれば、非常に高度な安定性を確保する必要があることは言うまでもありません。

NFVのこれから

このような新しい流れは、ほとんどの場合が大幅なコストの削減を目標としています。しかし、その効果を通信料金に反映しなければ意味がありません。

コストの削減によって通信料金を下げることによって、他の通信会社との競争に勝つことができれば、新技術の導入を行った意味があったと評価できるのではないでしょうか。また、これまでは想像もできなかったような画期的な新サービスの開発が、仮想環境を利用することで容易になれば、ユーザーとしても文句はありません。

この技術が、最終的には一般化家庭の中でも活躍するようになるのかは想像するしかありません。しかし、パソコンやタブレットの中に構築した仮想環境の中で、これまで専用の機器で行ってきたネットワーク関連の機能が実現できれば、どんな変化が起きるのでしょうか?例えばデスクトップ型パソコンの有線LANポートに安価なwi-fiアクセスポイントを接続するだけで、複数の通信端末のセキュリティ対策を含めた接続環境の全てを管理できるようになれば、それはそれで便利かもしれません。