Aspera(アスペラ)は高速でファイルを転送します

遠隔地にある拠点とのやり取りを、早急に済ますことができれば、大企業であっても、その規模からは想像もできない身軽なフットワークで、営業活動を行うことが可能となります。

規模が大きいからといって、必要なデータをゆっくり運んでいたのでは、同じ業界のライバル企業に負けてしまいます。

しかし、移動するデータが大量になるとやはり困ります。光回線のように、高速でデータを送信できるサービスであっても、実際の転送速度は、思ったほど早くないのが現状です。

しかし、現在の通信環境のままで、データ転送の速度を、大幅に向上できるとしたらどうでしょうか?

それが、IBM社の提供している「Aspera(アスペラ)」と呼ばれているサービスです。

どうやら、一般的なデータ転送とは明らかに異なる方式によって、速度アップに成功しているようです。

Asperaとは?

Asperaとは、現在契約しているインターネット回線が本来データ転送に利用できる帯域を、できるだけ無駄なく利用することによって、転送速度の大幅な向上を可能とするサービスです。

送信相手の利用している通信回線の状況にもよりますが、最大で、数十倍の速度を期待できるサービスです。

これは、ファイル転送を行う際に、一般的に利用されている通信規格である「FTP」を利用しないことによって可能となります。

独自の技術である「FASP」によって、FTPとは異なり、転送するデータを小分けにしたパケットが無事に届いたかどうかに関係なく、次々にパケットを送信します。

そして、到着していないパケットの再送信や、データを転送する帯域の調整のために、データの送信とは別個にコントロール用のパケットを送信します。

このような方法であれば、確かに無駄のないデータ転送が可能となります。FTPのように、パケットの到着を確認した後で、次のパケットを送信する方法では、送信先が遠方になればなるほど、待ち時間が増加します。そのため、せっかく高速回線を契約しても、その伝送路の持っている本来の帯域を、生かすことができません。

Asperaの特徴はまだあります

独自の転送方法によって、速度が大幅にアップするだけではありません。まず、転送するデータが、一定の作業を目的とするものであれば、その作業自体も自動化するプランが提供されています。

例えば、転送するものが映像関係のデータであり、データを画像化(レンダリング)する必要があれば、その作業をAsperaサーバーで行い、作業の結果だけを圧縮して、ユーザーへ届けるような対応です。

その他にも、転送するデータのフォルダ構成をそのままにして転送できる機能が利用できます。さらに、指定されたフォルダに格納したファイルを、自動的にAsperaサーバーにアップロード、およびサーバーに追加されたデータを、自動的にダウンロードする機能なども提供しています。

さらに、最も気になるセキュリティ対策に関しても、全ての転送データが暗号化されますし、途中でサーバーに保存する場合も、送信先がダウンロードする場合もその状態が維持されます。

保存されているデータをダウンロードする際には、SSHによってセキュリティ対策が行われた通信方法で、ログインするようになっています。

1つのデータを複数の相手へ転送する必要がなければ、間にサーバーを介在することなく、直接、相手の端末へ転送するプランも用意されています。

Asperaでファイル転送

企業向けのサービス、ということもあり、料金の面では、一般の人が利用できるようなサービスではありません。しかし、送信する方式を変えるだけで、データ転送の速度が大幅に向上することが可能であることが判明しただけでも、有益な情報ではないでしょうか?このような技術を利用した無料もしくは格安のサービスが提供されれば、ぜひ利用したい、と考えている人は多数存在していると思います。

写真や動画などのデータも、画質の向上に伴って、全体のデータ容量が飛躍的に増加している現状では、このようなデータ転送の速度を向上させるサービスが、一般のユーザーに対しても、安価で提供されることが望まれます。