太陽電池の発電能力を大幅にアップする新素材ペロブスカイト

現在では、環境破壊から地球を救うことができる技術の一つとして、ニュースなどでも話題となることがある太陽電池による発電ですが、その基本的な原理自体は、すでに1839年には、フランス人の物理学者によって発見されていたそうです。

しかし、実用化されるまでには、高いハードルが存在していました。それは、発電技術にとっては、最も重要な数値である「変換効率」が極端に低い、という致命的な問題があったからです。

この変換効率とは、その発電システムが受け取った光エネルギーのうち、どの程度の割合を、実際の電気エネルギーに変換できるか、という能力を数値にしたものです。

発電の原理が発見された当時の数値では、わずか1パーセント程度、というレベルの数値でした。

ところが、現在では「シリコン」を材料とする、一般的に利用されているタイプの太陽電池では、最大で、25パーセント程度の変換効率を実現しています。

ここまでくると、後は、製造コストや、環境に対する影響などを基準として、新技術を開発する必要がでてきます。

現在、主に利用されているシリコン型の製品よりも安価で、簡単に製造できて、変換効率の面でも、近い数値を実現できて、しかも環境に優しい素材が求められています。

現在、それに該当する素材として、大きな期待を持たれているのが「ペロブスカイト」です。

ペロブスカイトとは?

ペロブスカイトとは、もともとの意味は、結晶の構造を表す用語です。

無機物と、有機物が組み合わさっている「ペロブスカイト(灰チタン石)」と同じ構造をしている結晶を「ペロブスカイト構造」であると表現します。

この素材によって構成される膜を作成には、一般的な印刷と同じような手法によることが可能です。そのため、製造コストの面では、かなり注目されています。

さらに、太陽電池では、最も重要な要素である変換効率に付いては、すでに16パーセント前後の数値を達成する段階にまで、来ています。

この数値に関しては、現在、各機関によって、さらなる向上を目標として、新技術が開発中であり、近い将来には、シリコンを材料とするタイプに並ぶことが予想されます。

現在、素材として利用されている「ハロゲン化鉛」の環境に対する影響を考慮して、すでに、他の素材である「錫(スズ)」を採用した「錫ペロブスカイト太陽電池」も開発されています。

この新素材は、変換効率の面でも、将来的には、鉛を利用したタイプと同程度の数値が、実現できるようになると期待されています。

ペロブスカイトの効果

研究の一例としては、これまで一般的に利用されてきた既存の太陽電池の上に、この新素材で作成したシート状の太陽電池を重ねることによって、全体として変換効率を向上させる実験に成功しています。

この方法では、変換効率を、18パーセント前後にまで向上させることが、可能となります。

これまでも、2種類の素材を合わせることによって、変換効率を向上させる方法が存在していました。

これは、既存の素材に、色の濃いものを吸着させることによって、光エネルギーの吸収を、促進させるものです。

一般的には「色素増感太陽電池」と呼ばれているものですが、この吸着させた素材自体には、発電を行う性質はありません。

また、変換効率を向上させる効果は、あまり期待できないため、現在では、素材としてペロブスカイト系のものを採用する手法が、期待されています。

ペロブスカイト系の素材で、シリコン型と同じ程度の変換効率が実現できれば、比較的早い段階で、太陽電池の素材として、一般的な存在になりそうです。

もしも、住宅の屋根に、簡単に貼り付けることができるようなタイプが、安価で登場すれば、どうなるでしょうか?

住宅の屋根に、ペロブスカイト太陽電池のシートが貼り付けられている風景が、当たり前になりそうです。

ペロブスカイトは必要?

この技術の開発が太陽光発電の終着点、とは言えませんが、未来のエネルギー事情を、少しだけ明るくする存在であることは、間違いありません。

現実問題として、われわれが、太陽電池を導入するには、その価格の面での優位性が、最も重要となります。既存の発電方式よりも、多少効率が悪くても、安価で提供されるのではあれば、新方式を採用した製品を選択することになります。

特に特別な設備も、工事も不要であり、単に薄いシート状の製品を、日の当たる場所に貼るだけで発電できるようになれば、その衝撃は非常に大きなものとなりそうです。