耳からでも体の調子を測定する脈波センサー搭載イヤホン

最近の傾向として、日頃から体に装着している物を利用して、健康管理に必要な情報を取得するタイプの製品が増えているようです。

これは、新しい手法で生体情報を検知できるセンサーの登場によって、初めて可能となりました。

例えば、体の表面に接触させたセンサーから、光を出すことによって、血管の容積が心臓の鼓動に応じて拡大する感覚を測定する方法です。

このような方法で取得した波形を「脈波」と呼んでいます。

これまでのように、必要なときにだけ、センサーを使って、測定する方法では、急激に体調が悪化しても、それを検知できません。

それに対して、常に身につけることが可能である「ウェアラブルセンサ」は、健康管理にとっては、非常に有益な存在、と言えます。最近、そのようなジャンルの製品の中に、イヤホン型のものまで登場しています。

脈波センサー搭載イヤホンとは?

脈波センサー搭載イヤホンとは、イヤホンの中に、装着している人の脈波を検知できるセンサーを内蔵した製品です。

センサーの種類としては、これまでも他の製品で採用されてきた「光学式脈波センサー」と、イヤホンの形状に合わせた、独特な検知方法によるものが存在しています。

この独自なセンサーとは、イヤホンを装着した際に発生する密閉空間の圧力を、測定できるタイプです。

通常、心臓の鼓動に合わせて発生する血流の変化によって、耳の奥にある鼓膜がわずかに動きます。

このセンサーは、それによって発生する、わずかな圧力の変化を検知することによって、脈波を検知することが可能となります。

都合の良いことに、この圧力の変化によって発生する音波は、人間の聴力では、聞き取ることができない周波数帯域であるため、音楽を聞きながらでも、同時に脈波を検知することが可能です。

そうなれば、特に専用のイヤホンでなくても、このような特質を利用できれば、一定の周波数帯域に付いてだけは、イヤホンをマイクとして利用できます。

また、機能的には、イヤホンと似通っているヘッドフォンでも、同じような利用方法が可能とのことです。

密封度の面では、イヤホンに劣るような印象を受けるヘッドフォンですが、実際には、イヤホンと同じか、それ以上のセンサー能力を持たせることができる、という実験結果が出ています。

脈波センサー搭載イヤホンの効果

このようなタイプの製品が、一般的に利用されるようになれば、体調不良を事前に感知できる可能性が、大幅に上昇することが期待されます。

それは、継続して収集したデータを解析することによって、自覚症状が出る前に、体の中で発生している異常を早めに知ることができるからです。

特に、医師の少ない地域では、このタイプのセンサーを、常に体に付けることによって、脈波などのデータを収集できます。

そして、インターネット経由で、遠隔地にいる専門の医師が、データを確認すれば、頻繁に病院に通院して、検査を行う手間を省くような医療スタイルもあり得るのではないでしょうか?

そのためには、センサーを取り付けている人の持っているスマートフォンなどの端末以外にも、収集したデータを保存できて、すぐに確認できるようなクラウドのサービスが必要となりそうです。

例えば、一定の数値を超えるような脈波が検知されたときは、すぐに担当の医師に対して、通知が届くようなシステムが想定されます。

そのような形態で医療体制を構築できれば、医師が1カ所に集中している現在の状況であっても、少なくとも簡単な健康診断のために、遠隔地に訪問する必要が無くなりそうです。

脈波センサー搭載イヤホンのような製品はもっと必要?

今回紹介したような新技術は、多くの人に安心を提供できるものであり、これからも関連した製品が、登場すると思われます。

それだけ、自分の健康に関心を持つ人が増えた、ということが原因でしょうか。その中には、現在居住している地域では、近くに医者がいないので、日頃から気をつける必要がある、というような人も存在しているでしょう。

しかし、このような問題も、簡単に体調を管理できるシステムの開発によって、かなりの部分が、解消されるのではないでしょうか?

そのために、日頃から、現在の体調を判断するために必要なデータを、継続して収集する必要があります。

そのような要求に対して、すぐに対応できる製品を、安価で提供することができれば、機器メーカーにとっても、非常に大きなビジネスチャンスとなります。

医師の一極集中、というような医療制度の問題を、ある程度解決できるシステムを、有料で提供する訳ですから、公的な援助が欲しいところです。