iBeacon(アイビーコン)は顧客を店舗へ誘導するだけではありません

新しい製品を購入する際に、どのような方法によって、その性能などを確認しているでしょうか?

現在では、インターネットを利用すれば、ほとんどの製品を購入することが可能であり、よほどの高額商品でもなければ、実際に手にとって確認することがありません。

それでも、電化製品を展示している店舗には、たくさんの人が訪問しているようです。

しかし、店舗で使い勝手や、実際にその製品受ける印象を確認できれば、インターネットから購入してもユーザー側に不利益は発生しません。

そのため、最近では、来店者が増加しても、売上が伸び悩む現象が発生しているようです。

これは「ショールーミング」とも呼ばれている現象であり、来店者向けに何らかの特典を提供することができれば、あるいは防ぐことができるかもしれません。

その対策として期待されている新技術の一つが、iPhoneなどの製品を販売しているApple社が開発した「iBeacon(アイビーコン)」です。

この電子的に発信される標識(ビーコン)は、商用利用以外の分野にも、対応できる可能性を秘めた存在のようです。

iBeaconとは?

ほとんどのモバイル端末に内蔵されている位置情報サービスを、Apple社が独自に拡張した新規格です。

これまでのように、人工衛星から発信されているGPS信号を利用するのではなく、近距離での無線通信規格であるBluetooth Low Energy(ブルートゥース・ロウ・エナジー、通称 BLE)の信号を利用します。

このBLEの信号を発信する「ビーコン端末」を、例えば店舗内の入り口や、展示台に設置しておけば、近くを通りかかったiPhoneなどの端末がそれを受信できます。

ただし、このビーコン信号には、その店舗などの独自情報は含まれていません。

あくまで、そのビーコンの発信位置を特定できる情報のみで構成されています。

iPhoneなどの端末では、この機能に対応したアプリがインターネットされていなければ、この信号を利用して、その店舗から、来店者向けに提供されている特典を受けることができません。

しかし、ひとまず、ビーコンからの信号を受信したことが、端末の画面に表示されますので、興味があれば画面の指示に従って対応したアプリをインストールします。

iBeaconの活用

この信号をキャッチするには、端末側で、Bluetooth機能を、事前に有効にしておく必要があります。

消費電力を気にする人の中には、この機能を常に無効にしている人がいると思います。

しかし、同じBluetoothであっても、iBeaconで採用している「Bluetooth Low Energy」は、省電力化を優先して策定された通信規格です。

そのため、モバイル端末の内蔵電池を、極端に消費する心配はありません。

常に、このビーコンに信号に反応するのではなく、興味のある製品を提供している店舗から発信されているビーコンにだけ、反応すれば十分です。

この規格では、ビーコンとそれを受け取る端末との距離によって、三種類の識別子で信号を発信します。

そのため、独自のアプリを開発する業者は、その目的によって、三種類の識別子を使い分けることが可能です。

例えば、最も近くでしか反応しない近接モードである「Immediate」にすれば、展示している製品のすぐ側(数センチ以内)に近づいた人にだけ、その製品の詳細な仕様を表示できます。

また、最も遠くまで発信されるモードである「Far」では、おおよそ半径10メートル以内を歩いている人に対して、来店するだけで、記念品のプレゼントを受けることができるクーポンを配布したり、キャンペーン情報を配信したり、と言うような対応が可能となります。

一般的に利用されている規格であるBluetoothを採用しているため、iOSデバイス以外の端末に対応したアプリを開発することが容易である点も、特徴です。

iBeaconの可能性

公共機関で利用されている例としては、東京駅でテスト中の「東京駅構内ナビ」によるiBeaconの採用があります。

このナビシステムでは、スマートフォンにインストールしたアプリに、目的地を入力すれば、その場所までの経路を案内してくれます。

このような機能を持っているビーコン発信機を、東京駅の構内の地下を含めたエリア内に、合計160個設置ずみとのことです。

wi-fiスポットを利用して、現在地を検知する手法もありますが、各機器から発信する識別信号の届く範囲が狭い方がより精度の高い検知を可能としますので、その点では、iBeaconを利用するシステムの方が優位にあるようです。