インダストリアル農業とはITと農業のコラボレーション

人間にとって必要であるものほど、大事にされていないのが現状のようです。

特に、食の世界では、それが顕著ではないでしょうか?

多少の危険があるかも知れないな、もしかしたら、中身は別のものかも知れないな、と思いながらも、その価格を優先して、毎日の食事を取っていないでしょうか?

もちろん、中に毒物が入っている訳ではないので、何か問題が発生する訳ではありません。

それでも、安心して食べることが出来るものだけが、販売されている世界を求めることは自然なことです。

しかし、全てを我々だけで生産するにはハードルが多すぎます。

そもそも、事業として利益を上げることができなければ、だれも興味を持ちません。

しかし、効率化を図ることが可能であれば、挑戦する人が出てくるかも知れません。

それが農業であっても、可能性さえあれば、やってみよう、と名乗りを上げる人が、出てくるかも知れません。

効率化に付いては、やはり工業で利用している手法が、役に立ちそうです。

それを実現するのが「インダストリアル農業(農業の工業化)」と呼ばれている取り組みです。

 

インダストリアル農業とは?

インダストリアル農業とは、製造業で成果を上げている技術や、コスト削減のノウハウを、別の分野である農業でも、活かすことを目標としている、新しい動きです。

これまで、製造業の分野では成功している企業が、新たに農業に関連した事業に参入する際に、このような方針が話題になります。

これまで農業の世界では、採用していなかったような画期的なアイディアを、導入することによって、実現しつつある動きであり、一例としては、家電メーカーの東芝が初めた新規事業です。

これは、完全人工光によってレタスなどの野菜を生産するものです。

その運用方法は、これまで製造業として培ってきた生産手法を、この植物工場に導入したものであり、単なる実験ではなく、利益を生むことが出来る規模の生産数を予定しているようです。

東芝としては、これまでの経験から一定以上の規模でなければ、競合する他の企業との勝負には、勝つことができない、と言う信念を持っています。

そのため、この新規事業を海外でも行うことによって、価格競争が厳しい農作物の分野でも、採算性と競争力をつけることを目指しています。

 

インダストリアル農業のメリット

他の分野で、厳しい競争に勝つことができた経験を、農業の分野でも、活かすことができるところが特徴です。

これまで、工場での作業を管理した経験のない人が、例え、農業に関して、豊富な経験を持っていたとしても、いきなり植物工場を初めて、成功する可能性は低いのではないでしょうか?

特に工場を運営するには、どうしてもコストに見合う利益を確保する必要があります。

その点でも、工場を低コストで運営するノウハウを持っている企業が参加する意味はあると思われます。

 

これまで、個人が独自で持っていた、高い品質の農作物を作ることができる技術を、数値化するには、やはりシステム構築の専門家が、参加する必要があります。

工場の立ち上げに関しては、それぞれの持っている専門的な知識を合わせた上で、低コストで、高い収益を実現できるような、新しい運用システムを開発する必要があります。

企業によっては、このような要請に対応した新システムを、提供しているところもあるようです。

例えば、富士通では、クラウドのサービスとして、センサーで収集したデータを蓄積した上で、各作業員の持っているタブレットに入力した収穫データを分析する機能を提供しています。

これによって、栽培成績の良かった栽培条件を確認できれば、最も利益の上がる生産計画を、容易に導き出すことが可能となります。

 

インダストリアル農業の将来

これから運用を継続すれば、もしかしたら予想もできなかった問題が、発生するかも知れません。

しかし、全体としては、農業の未来は、これまでよりは多少明るくなった、と評価できるのではないでしょうか?

低コストで、質の高い農作物を生産することができれば、割高でも、安全な食物を求めている日本のユーザーにとっては、非常に魅力のある食材となります。

また、低コストで製造できるのではあれば、海外で生産された作物との勝負にも優位な立場で臨むことが可能となります。