とうとう実現した世界初のサイボーグ型ロボット「HAL」

人間の生身の体と、自動で動作する人工物を融合したものを「サイボーグ」と呼びますが、すでに医療の分野では実用化に成功しています。

例えば、外からは見ることが出来ませんが、心臓の動きを助けるペースメーカーや、人工心臓、人工内耳などです。

しかし、人間が自分の意思によって、動かすことができる手や、足などのような器官の代わりとなる技術も必要です。

これには、人間の意思を実現するために、まずは脳から、筋肉などへ一定の動きを指示する際に流れる、微弱な電気信号を検知する必要があります。

現在、そのような分野でも、実用化が完成しています。

サイバーダイン社の開発した、パワードスーツ(強化スーツ)である「HAL」は、頭で考えた結果を、そのまま実現できるタイプのサイボーグ型ロボットです。

世界で初めて、ISO(国際標準化機構)の認定を受けた製品です。

体に装着して、人間の行う作業を補助することを目的として開発されましたが、その動きは、装着している人の脳から、筋肉に対して発せられた信号を実際に分析することによって命令されます。

リモコンを操作して動かすのではなく、頭で考えたことを、そのまま実現できるところが、特徴です。

 

ロボットスーツHALとは?

ロボットスーツHALとは、装置を装着した人の生体電位信号を感知して、動作する機能を持っているパワードスーツです。

感知した信号を、コンピューターによって分析した結果に従って、体の各部に付いているサーバ機構が、装着した人の動きを補助するように動作します。

それらの動力源は、腰に取り付けた電池によります。

この装置の補助によって、本来持つことができる重量の5倍程度の重さの物を、持つことが可能となります。

重量物を持ち上げる必要がある現場作業や、医療機関などで、自分では動くことのできない患者の介護や、その他にも、障害者や、高齢者の運動を補助する役割が期待されています。

この装置では、単に、脳からの信号に基づいて、各部の動きを補助するだけではありません。

実際に、どのような動きを行ったかを、脳に伝達することによって、脳は、各部を動かすために必要な信号の出し方を学習することができます。

このように、脳へのフィードバックを行うことによって、最終的には、この装置がなくても、体の各部を動かすことができるようになることが期待できます。

また、全身型以外にも、体の一部の動きを補助することを目的とするタイプも数種類用意されています。

例えば、腰の動きだけを補助する装置などは、他人の介護を業務としている人には最適なタイプ、と言えます。

 

ロボットスーツHALの何が凄い?

重たいものを持つ人を補助する、と言うような単純な目的でも活躍できる製品です。

しかし、事故などで、体の一部の動きに問題があり、リハビリの一貫として、この装置を装着する人にとっては、最終的に、この装置なしでも、通常の動きができるようになることが目標となります。

そのような目的にも、十分対応することができる点が、これまでの補助用の装置とは、完全に異なる部分である、と言えます。また、体の一部の動きのみを、補助することができるタイプも用意されています。

装着する人の動作環境に合わせたタイプを、自由に選択できるところも、現実的な対応ではないでしょうか?

通常は、脳で認識した動作を検出するために、皮膚に貼り付けたセンサーから微弱な信号を読み取ります。

しかし、そのような信号がなくても、装着者の動作を補助できる自律制御システムも採用しています。

また、脳で指示を出した一定の動作が完了したことを報告する信号を脳へ届けることによって、脳と、この装置が、実際に接続されているような状況を生み出すことができる点も、このシステムの特徴です。

もしも、リハビルの一環として、この装置を装着すれば、自分の体の一部が、魔法を使って再生されたような感覚になるでしょう。

足を負傷して、他人の支えなしで何とか歩けるようになった人が、その部分だけにこの装置を装着してリハビリの効果を高める、と言うような使い方が、考えられます。

 

ロボットスーツHALの実現できるもの

開発された段階で、多数の分野での活躍が、すぐに予想されるタイプの製品です。

完全防御のタイプであれば、大災害の現場でも、装着者の健康に影響のない体制で、被害者救助を行うことが可能、となります。

また、高齢者が、他の高齢者を、自宅で介護しているような家庭が増えている、日本の現状を、少しでも改善できる存在でもあります。

現在の段階では、個人でHALを購入することはできません。あくまで、福祉施設に対するリースと言う形で、提供しているのが現状です。