光で通信できる可視光通信技術

現在の通信技術は、専用の設備を利用して、できるだけ効率化を図ることによって、安定した高速データ通信を行うことに成功しています。

しかし、それには莫大な費用がかかるため、どうしても我々が利用する通信サービスには、それなりの金額の料金が必要となります。

もっと、当たり前の方法で、データを送信する方法があれば、格安の通信サービスの提供が可能となりそうです。

実は、そのような要求に合致する通信手段が存在しています。

それは、人間の目でも確認することができる「可視光」を利用したデータ通信である「可視光通信」です。

しかし、どの程度の通信速度を、実現できるのでしょうか?いくら便利でも、極低速の通信速度では興味を持つことはできません。

 

可視光通信技術とは?

可視光通信技術とは、無線通信の一種であり、可視光を高速で変調させることによってデータ通信を行います。

これを、利用中の照明によって行う場合は「照明光通信」と呼びます。

将来的に、全ての照明が高速での変調に対応できるタイプに置き換わることが予想されるため、この分野での研究が推進されています。

ただし、照明としての役割も完全に務める必要があります。

通信によって、人間の目によって、感じることができるようなチラツキなどを、発生させることは許されませんので、その部分を考慮して新技術を開発する必要があります。

そのため、他の分野で利用される可視光通信よりも、必要とされる要件が多少厳しくなります。

例えば、パナソニック社では、スマートフォンのカメラ機能を利用して、数kbps程度の通信を行うことができる技術を開発しています。

この技術では、信号を発信している光源の横幅の約5倍程度の距離まで離れても通信が可能です。

また、速度だけで言えば、近畿大学の工学部が、2014年の11月に、青色LEDを使用して、662Mbps、と言う世界記録を達成しています。

 

可視光通信技術の新しいところは?

遠くまで届ける必要のないデータを送信する手段としては、最適な方法と言えます。

これは、セキュリティ対策の面でも理想的な通信形式となります。

また、光を利用した通信回線であれば、現在、すでにほとんどの周波数帯を利用している、電波信号を利用したモバイル通信の回線にも干渉しません。

同じ空間で、それらと併用しても、全く問題がない点は非常に優れた特性です。

通信速度に関しても、将来的には飛躍的に向上することが、ほぼ確実であると言えそうです。

もしかしたら、同じ部屋の中で利用する通信手段としては、wi-fiや、Bluetoothと同じかそれ以上の可能性を秘めているかも知れません。

他にも、店舗のディスプレイや、デジタルサイネージ(電子看板)から、来店者用のクーポン情報や、キャンペーン情報などを、直接スマートフォンに送信することが可能です。

また、美術館などで、展示物に関する情報を、展示物を照らしている照明の中を経由して、届けたりするような利用方法も予想されます。

更には、交通案内の看板を照らしている照明を経由して、周辺の地図などを、利用者のスマートフォンへ届けるような手法はどうでしょうか?

以上のような利用方法であれば、照明と、利用者の間に、数メートル程度の間隔しか空きませんので、現在の技術をそのまま使用したとしても問題は発生しそうにありません。

 

可視光通信技術の活用

可視光を利用する、と言うような、最も原始的な方法によって、未来の高速データ通信が行われるとしたら意外に思われます。

しかし、去年任務を終えた人工衛星である「ぎんれい」には、この技術を採用した通信システムが搭載されていた、とのことです。

悪天候のため、満足な実験はできなかったようですが、短期間に任務を終えるタイプの人工衛星にとっては、可視光による通信は、その利用に特別な許可を必要としない点などから、今後も利用される可能性があるようです。

近い将来、全ての照明が、この通信方式に対応したものへ置き換わるとしたら、それを利用しない手はありません。

これまでも、電気配線を利用した通信形式が提供されることによって、LAN工事をすることなく、高速のデータ通信を行うことが可能となりました。

それと、同じように、家庭内でも照明を利用した高速データ通信が当たり前になるのでしょうか?