CAD on VDIの実現できる環境

それまで、手書きで行っていた各種の図面作成を、コンピューターにインストールしたソフトウェアによって、簡単に行うことができるようにしたシステムは、一般的に「CAD(キャド)」と呼ばれています。

一般家庭で利用するシステムではありませんので、設計を業務としている人でなければ、触る機会はないかも知れません。

最近では、3D化された図面を作成できるような高度なシステムも、普通に利用されています。

当然ですが、業務用の高度なシステムに対応するには、コンピューターの能力も高くなければ、とても描写が追いつかないのが実際です。

そのため、一般家庭で利用されているものよりも、かなり高額で、高性能なコンピューター(ワークステーションとも呼ばれます。)を利用する必要があります。

しかし、実際には、それらの端末が、フル回転している訳ではありません。

かなり、無駄な部分も存在している現状を改善する手段として、注目されているのが「CAD on VDI」です。

 

CAD on VDIとは?

CAD on VDIとは、各コンピューターの中には、CADのソフトウェアをインストールせずに、ネットワークによって接続されたサーバー上の仮想環境の中で、CADのシステムを利用する形態です。

「VDI」とは、仮想化されたデスクトップ、と言う意味です。この形態であれば、コンピューター資源を、無駄にすることがありません。

何故ならば、複数のコンピューターによって、1つのCPUや、GPU(画像処理を担当)の能力を、無駄なく利用できるからです。

高性能なCPUであれば、同時に10台以上のコンピューターが、ネットワーク経由で、3DのCADシステムを操作しても、描写が遅延しないことが確認されています。

また、光回線のような、高速のインターネット回線を経由すれば、離れた場所からでも、CADシステムを遅延なく利用することが可能となります。

更に、設計担当者が使用しているコンピューターの中には、作成したCADのデータを、保存する必要がありませんので、セキュリティ対策の上でも、非常に有益な手法と言えます。

これまでは、作業が終了するたびに、その端末内にある保存データを、外部に取り出す必要がありました。

その際、端末に残ったデータを消去しなければ、端末の盗難や、不正アクセスによって、開発中の新製品のデザインなどが、外部に流出する可能性が、常に、存在していました。

 

CAD on VDIの実現する世界とは?

CPU、及びGPUの性能の向上、およびインターネット回線の高速化、並びにデスクトップ仮想化技術の進歩、と言う各要素の全てが、そろうことによって、初めて可能となった環境です。

しかし、その可能性は、かなり大きなものである、と言えます。これまでは、高性能なコンピューターが用意されている場所でしか、作業をすることが出来ませんでした。

しかし、実際に設計を行うコンピューターが、モニターとしての役目だけを、担うのであれば、一般家庭に設置されたパソコンや、スマートフォンなどの端末でも、設計業務を行うことが可能となります。

わずかな遅延を我慢できるのであれば、毎日、出勤する必要もなくなりそうです。

また、工場などに出張して、以前設計した製品の様子を見ながら、その場で、設計変更を行うような対応も、可能となります。

これまでよりも、臨機応変な対応によって、結局は、製品の設計コストを、大幅に削減することができそうに思いますが、どうでしょうか?

また、このように、それぞれの場所に設置しているコンピューターで、CADシステムを操作したとしても、本来の利用ルールを守っていれば、保存したCADデータが流出する可能性はありません。

 

CAD on VDIの将来

すべてのシステムが、仮想環境において利用できるようになる時代は、すぐそこまで来ているようです。

特に、3DCADのように、高性能なコンピューターを必要とするシステムまでが、対応できるようになった、と言う事実は、この流れには、限度がないことを、示しているようです。

おそらく、次に来るのは、動画の編集などの分野でしょうか?

この流れが更に加速すれば、高性能のコンピューターを、個人で所有する必要性が、薄らぐような気がします。

各自の所有するパソコンが、最低限の描写能力さえ備えていれば、CPUや、GPUに負担にかかるような作業は、別の場所にある高性能サーバーが、一括して処理する訳ですから、各ユーザーが、目の前に設置してある、自分の所有するパソコンのデータ処理能力に拘る必要は、なくなりそうです。