パワー半導体は正にパワーの源

「半導体」と聞けば、通常であれば、パソコンや、スマートフォンなどの中にあるパーツである、CPUを思い出します。

微弱な電流によって動作する、この半導体によって、データの処理を、高速に行うことが可能となります。

その働きによって、それぞれの端末が、持ち主の期待に応じた働きをすることができるのは、事実です。しかし、そのような役割だけが、半導体の仕事ではありません。

もっと、高い電圧で、大容量の電流を常に受けながら、その端末のエネルギー、とも言える電力を管理するのも、半導体の大事な仕事です。

このように、電力の変換や、制御を主な仕事としている半導体を「パワー半導体(パワーデバイス)」と呼んでいます。最近の省エネルギー化の流れにとっても、非常に重要な役目を担っているのが、この分野の半導体です。

 

パワー半導体とは?

電力によって動作する製品のために、外部から来た交流電流を、直流電流に変換したり、電圧を変更したり、内蔵されたバッテリーを充電したり、データ処理を行うCPUなどの半導体に電力を供給したり、と言うような役割を、担っている半導体です。

他の半導体と異なり、大容量の電流に対応することができるように、設計されています。

家庭用の機器であっても、100ボルト以上の電圧が、半導体にかかる訳ですから、貧弱な作りでは、とても持ちません。これが、工場などで利用されるタイプともなれば、更に、その対応できる電圧が上がります。

変電所などで利用されているものでは、数千ボルトに耐えることができる半導体が、活躍しています。

小さな体で、大量のデータ処理を行うことが求められるCPUなどとは異なり、できるだけ少ないロスで、電流を変換、制御することが求められます。

そのため、CPUなどに比べると、大きめのサイズになりがちです。材料は、CPUと同様に、シリコン製のものが一般的ですが、最近の省エネルギー化の流れに影響されるように、別の材料を使用して、電力のロスを減らすことができるタイプも、開発されています。

メーカーとしても、そのような要望に対応した製品を開発することによって、新たな顧客を獲得することを目指しています。

 

パワー半導体の進化

制御する際に発生する電力ロスと、このパーツを電流が流れる際に、一部の電力が、熱として逃げてしまうことによって発生するロスを、いかに少なくするかがポイント、となります。

そのような観点から、材料のシリコンを別の材料に変えることによって、かなりの省エネルギー化を図ることが可能であることが分かっています。

具体的には、SiC(炭化ケイ素)や、GaN(窒化ガリウム)を使用した製品が、すでに登場しています。

しかし、技術的には、難しい部分があるようで、価格的には割高となっているようです。

将来的には、技術革新によって、ほとんどの製品が、新しいタイプに置き換わることが、予想されます。このような省エネルギー化が、世界中で行われるようになれば、実質的には、膨大な電力が、何もしなくても、新たに発生することになります。

データ処理を行うCPUや、データを保存する記憶装置の省電力化と同時に、新しいタイプのパワー半導体を採用することによって、例えば内蔵電池による動作時間の延長、と言うような、その端末のユーザーにとっても、嬉しい結果を期待することができます。

 

パワー半導体の未来

電力ロスをゼロにすることは困難ですが、それに近い数値を実現することができれば、それだけで地球の環境保全に寄与することができる分野です。

自然エネルギーを利用した発電方法に移行するためにも、できるだけ発電した電力のロスを減らすことが、必要となります。

その意味でも、メーカーとして、力を入れて欲しい部分です。

一般的に省エネルギー化、と言うと、大きな電力を必要とする設備を対象として、考えがちです。

しかし、実際には、ほんの僅かな電力ロスを減らすことによって、全体として、大きな効果を生むことがあることは、あまり知られていないようです。

正に、チリも積もれば、山となる、と言う格言を、そのまま、表しているような事例です。

当事者の全てにとって、利益をもたらす分野ですので、官民を挙げて、現在の省エネ化の流れを、これからも維持して欲しいところです。