パッシブハウス型農業プラントは近未来の姿?

一般的なイメージで、農業と、コンピューターの関係を想像すると、どうしても工場などのような、密閉された空間で、しかも人工的に、明るさや、温度や、湿度などを自動調整して、作物を育てている光景を想像します。

しかし、実際には、自然の日光、水、風などを有効利用して、作物の生育に適した環境を提供するシステムも存在するようです。

それが、パナソニックエコソリューションズ社が開発した「パッシブハウス型農業プラント」と呼ばれているものです。

しかし、なぜ、このような方法で、農業を行う必要があるのでしょうか?このシステムは、ある部分、自然任せにすることから「パッシブ(=受動的、受け身)」と呼ばれているようですが、どのようなメリットがあるのでしょうか?

 

パッシブハウス型農業プラントとは?

パッシブハウス型農業プラントとは、見た目は、いわゆるビニールハウス状の農業プラントですが、作物の生育に適した環境を実現するために、できるだけ自然のエネルギーを利用するように、設計されているものです。

そのため、エアコンなどの設備を利用して、温度や、湿度の調整を、することはありません。

あくまで、最適な環境になるように、ハウス内の湿度、温度などを計測しながら、ハウス内部の遮光や、送風や、散水などを、コンピューター制御します。

この方法によって、運用コストを、大幅に節約することが可能となります。現在のところは「ほうれん草」の栽培のみを、対象としています。

このプラントを利用すれば、通常は、1年間に最大でも、6回程度が限界であった収穫が、最大で8回まで増えることが、実験によって判明しています。

特に、高温となるため、ほうれん草の生育には向いていない夏場であっても、ハウス内の日照と、温度の管理を自動化しているため、頻繁に見まわることなく、確実な収穫を期待できます。

 

パッシブハウス型農業プラント、メリットは?

全てを電化すれば、最適な環境を常に実現することは、容易ですが、その代わりに、設備や、運用のコストは、かなり大きなもの、となります。

収穫が安定していても、光熱費の上昇によって、利益が圧縮される可能性が常に存在します。

その点では、この新方式のプラントの方が、低コストで運営できますし、自然の環境をそのまま利用することによって、少ない費用で運用することが可能です。

現在は、ほうれん草のみを対象としたプラントですが、今後は、他の作物にも対応することが、予定されています。

このプラントを設置する際には、あらかじめ測定した数値(日照、風向きなど)に基づいて、それぞれのハウス内が、最適な環境となるように、その設置場所などを決定します。

また、ハウス毎に、種まきの時期をずらして、出荷の時期を調整することができます。

通常であれば、天候によるリスクも予想される手法ですが、このプラントでは、そのようなリスクの影響を、無視することができますので、毎日出荷できるように、収穫の計画を立てることさえ、可能となります。

 

パッシブハウス型農業プラントの将来は?

これからも、農業は、重要な産業の一つであることは、疑いの余地がありません。

輸入に頼る生活が、当たり前になっている我々ですが、それらの商品を完全に信用することに、疑問を感じるような内容のニュースが、年中流れているのも、また、事実です。

自分たちで消費する農作物くらいは、自国で生産したい、と考えるのが、自然ではないかと思います。なかなか、苦労ばかりで、お金が儲かるようなイメージが湧いてこない分野ですが、アイデアしだいで、いくらでもチャンスが転がっている、とも言えます。

自然環境を利用して、低コストで、事業を行うことができるかどうかは、現在では、非常に重要なテーマである、と言えます。

高額の設備を準備して、沢山の光熱費をかけても、とりあえず、儲かれば良い、と言うような、これまでの感覚では、地球環境の保全などは、とても実現できません。

何かのアイデアを思いついても、それがどの程度のコストで、どの程度の利益を生むのか、及び環境に悪影響を与える要素はないのか、ということを、最初に考える習慣が、全ての分野で、必要なのではないでしょうか?