GaN(窒化ガリウム)パワーデバイスは省エネの技術

同じ発電量で、できるだけ多くの家庭や企業が停電することなくやっていくには、無駄な電気を使わない、ということを習慣化する必要があります。

しかし、それだけでは不十分です。

発電した電気を各家庭や企業に届ける際に、できるだけ損失のないような方法を選択すべきです。

現在の仕組みでは、発電所から、実際に電化製品を利用する場所までの経路において、ある程度の損失がどうしても発生してしまいます。

 

家庭や、企業の中において、発電所からやってきた交流電流を実際に利用する機器に合わせて、直流に変換して、電圧を調整、制御することによって、かなりの割合の損失が発生してしまいます。

この損失を、大幅に低減できる仕組みが「GaN(窒化ガリウム)」を使用した新しいパワーデバイスです。

実際に、パワーデバイスの進化によって、どの程度の省電力化が期待できるのでしょうか?

 

GaNパワーデバイスとは?

ガリウム(Ga)と、窒素(N)の化合物である窒化ガリウム(GaN)を使用したパワーデバイスです。

交流100ボルトを、その機器に合わせた電圧の直流に変換する場合などに活躍する部品です。

これまでは、一般的には、シリコン(Si)が使用されてきましたが、これを窒化ガリウム製に変更するだけで、大幅に電力の損失を低減する効果があります。

数パーセントの効率化ですが、それでも全体としては大きな数値となります。

実際に数値で表現すると、現在シリコンを使用した部品では約5パーセントの損失が発生しますが、これを6分の1以下にまで低減する効果があります

この窒化ガリウムの特性として、200度以上の高温でも耐えることができるため、その機器自体の冷却にコストがかからないと言うメリットもあります

ほとんどの面で、パワーデバイスに向いている特性を持っていますが、その他にもLEDや半導体レーザーの分野でも利用されています。

 

GaNパワーデバイスの特徴

パワーデバイスによる電力損失には、電流が流れている際に発生する電気抵抗と、直流化するために、スイッチを何度も切り替える際にどうしても発生する損失があります。

これは、電流が流れる経路の抵抗を下げること、及びスイッチの切り替えを高速化することで、改善することが可能となります。

窒化ガリウム(GaN)は、このような要望に相応しい特性を持っている素材です。

高い絶縁性と低い抵抗値を特徴する素材であり、コンパクト化と高速スイッチングを実現することができます。

 

今後の展開としては、低い抵抗値と、高速スイッチングを実現する、パワーデバイスを必要とする分野での利用が考えられます。

例えば、世界中でインターネットなどの通信を支えているサーバー用の電源、太陽光発電などの自然エネルギーを利用して発電した電力を、少ない損失で供給する電源、ハイブリッド車や、電気自動車の電源などで採用されることが予想されます。

 

GaNパワーデバイスの将来

これからも、活躍する場所が増加することが確実。と言えますが、それでも、実際の電力損失の割合から言えば、まだまだ改善の余地が沢山ありそうです。

お金さえ払えば、好きなだけ電気を使用できることが当たり前である環境では、省エネに対する関心もあまり高いとは言えません。

しかし、将来的には、少ない電力を、いかに有効利用するかが、重要な問題として議論されるような時代になることは確実です。

電気代を払う側にとっても、関心を持たざるを得ない話ですし、省エネに関する話題としては、かなりインパクトのあるものではないでしょうか?

1.自然のエネルギーを使って効率良く発電できる体制をとるか

2.現在の発電所によって発電している電力をいかに無駄なく使用するか

と言う点が、今後も新しい技術を開発する際に重要なテーマとなりそうです。

発電方法の進歩と、それを無駄なく利用する技術の両方が進化すれば、世界的な電力危機も防ぐことができるかも知れません。

今回紹介したような技術が、もしも世界中で利用されれば、それだけで莫大な電力を節約することが可能となります。