触覚ディスプレイ 目指すことは「手で見ること」

現在、研究中の技術の中でも「触覚ディスプレイ」と呼ばれているものが、手の触覚によって物を「見る」ことができる技術として注目されています。

主に、手のひらや指先に対して刺激を与えることによって、対象物の状況を確認することができる仕組みですが、単にその形を伝えるだけではありません。

その物の持っている質感などを、伝えることができる手法も研究されているようです。

 

触覚ディスプレイとは?

手によって感じることができる形、感触、振動、温度などの情報によって、対象とする物の状態を伝える技術です。

復数の研究機関において、現在、実験が進められています。

簡単なところでは、文字などの形をそのまま確認できる装置がありますが、更に進んで、生物の体の感触を機械的に表現したものや、温度を上げたり下げたりして対象物の状態を伝える手法もあります。

単に、対象物と同じ形に触るのではなく、特殊な機器によって指先に多数の刺激を同時に与えることによって、その指先からの情報が脳の中で分析されて、その物の正確な形を頭に描くことができるような技術も開発中です。

 

その他にも、これまでは表現が困難であった、指先の触感で感じることが出来る「ツルツル感」や「ザラザラ感」などを、表現する方法も開発されています。

これは、タッチパネルの表面を、振動させることによって発生する、高圧の空気によって、表面の摩擦力を変化させることで可能となります。

この技術の応用で、実際には存在していない、タッチパネル画面の「凹凸感」まで、表現することが可能となるそうです。

将来的には、パネルの場所によって触ったときに、異なる触覚を指先に与えるようなシステムも可能となります。

 

触覚ディスプレイの実際

現在のところ、各機関において研究中であり、製品化するには多少の時間が必要と思われますが、もしも、この技術が採用されるとしたら、どのような分野でしょうか?

まずは、当然ですが、目に障害を持っている人がこれまでは耳からの情報によって、取得してきた対象物の情報を、手の触覚によって補完する機器が考えられます。

耳と、手の両方で、対象物を感じることができれば、それだけ理解度が向上するのは当然のことです。

 

温度や、触った感触さえ、表現できるのであれば、例えば、対象となる生物の体温や、毛皮の感触なども含めた表現が可能となります。

実際に、生物の体に生えている体毛の動きを分析して、生きている動物の体の動きを、手のひらで感じることができるディスプレイはすでに開発済みです。

他の分野では、テレビゲームとの連動は、かなりの可能性を秘めていると思われます。その場面に応じて、リモコンの感触が、変化していくような仕組みが予想されます。

 

触覚ディスプレイの提供する新世界

このような新技術によって、視覚に障害を持っている人でも、ほとんど、健常者と同じレベルで、対象物の状況を確認できるような環境が実現することが望まれます。

しかし、そのような分野だけではなく、これまでは、当たり前のように利用してきた、各機器のタッチパネルに関しても、大きな影響を与えそうな予感がしますがどうでしょうか?

パネルを触る指先に対する刺激によって、現在よりも多くの情報を、指先から受け取ることができれば、もしかしたら、目でディスプレイを見る必要さえなくなるかも知れません。

 

指で触ることに特化した、専用のディスプレイのみで、対象物の確認を行いながら、全ての作業を、終了することが可能となった世界は、かなり魅力的なものではないでしょうか?

複数の刺激を指先に与えることによって、複雑な物であっても表現できる技術があれば、指先で、遠隔地にある製品に触ることも可能となりそうです。

オークションに出品された商品を、遠隔地から指で触って確認できるようになればどれだけ助かるでしょう。