温度差なしでも発電することができるの?

どんなに高性能なコンピューターであっても、結局は電源がないとお手上げです。

しかし、その電気に関しては発電方法を巡って、これまでもいくつかの問題が発生してきました。

地球上で、発生している自然現象を利用できればそれが一番です。

しかし、発電効率を考える必要がありますので、どうしても地球環境にあまり優しいとは言えなくても、発電効率の良い方法も併用して電源を確保する必要があります。

 

特に、地熱などの温度を利用する発電方法に付いては、発電効率を考えると、かなりの高温(一般的に、600度以上)が必要とされてきました。

そのため、温泉地などであればどこでも発電可能である、と言うことではなく、地理的に、いくつかの条件を満たしている場所でのみ可能となる発電方式でした。

しかし、それも将来的には大きく変わっていく可能性があるようです。

もっと低い温度でも、発電を可能とする技術が、開発されたからです。

 

温度差なし発電とは?

温度差なし発電とは、信州大学と長野県諏訪市のエヌ・ティー・エス社が共同して開発した新技術です。

これまでの発電方法では、温度差を最大限利用することで、できるだけ、発電の効率を上げる必要がありましたが、この新方式では、そもそも温度差を利用して発電している訳ではありません。

構造的には、2つの電極(アルミ合金と、銅合金で製造)の間に、一定の割合で混合した亜鉛化合物、誘電体化合物、及び導電性高分子を挟み込みます。

 

この状態で、発電ユニット全体の温度を上げることですぐに発電がはじまります。

しかも、100度以下の温度でも発電が可能です。

一般的な、地熱を利用した発電のように、大きな施設内で発電用のタービンを回す必要もありません。

この新方式がいかに優れているかは、誰でも理解できるところです。基本的に、ある程度の熱を発生している場所であれば、どこでも利用することが可能となります。

 

温度差なし発電はどこで使う

この技術を更に進化させて、もっと低い温度でも発電ができるようにすれば、少しでも温度が高い場所であればどこでも発電所となります。

一例としては、車のダッシュボードなどに設置する方法です。

よく太陽電池を設置していますが、その裏側にこの新方式の発電素子を設置すれば、太陽が出ていなくても発電が可能です。

車であれば、エンジンの発生する熱などを利用できる可能性も考えられます。

 

更には、工場や、火力発電所などで発生する熱を利用する方法、堆肥などを作る際に、微生物の働きによって、発生する熱を利用する方法、温泉地で発生する、100度以下の熱を利用する方法など、その可能性は無限とも言えます。

これまで開発されてきた自然現象を利用する方式の発電方法と併用すれば、現在の電力需要のかなりの部分を、将来的にはカバーすることができるようになると思われます。

 

温度差なし発電の実現する未来

このような新技術が非常に単純な構造で実現できるところは、皮肉に感じる部分です。

しかも、他の作業を行っている最中に、偶然に近い形で発見された、とのことです。

まだ、発電できる仕組みが完全には解明されていませんので、製品化にはまだまだ時間がかかることが予想されます。

しかし、更に低い温度でも、十分な効率で発電できるようになれば、我々の生活はどうなるでしょうか?

例えば、建物の全ての部分を、このような発電もできる素材でつくれば、もしかしたら、屋根に設置した太陽電池と併用して、全ての電力消費を、その建物自体で発電した電力によって賄うことができるようになるかも知れません。

 

地球の環境を損なわないで、自由に電気を利用できる快適な生活を望むことは、現実的ではないと一般的には言われています。

しかし、そのような理屈を変えるくらいの効果が期待できる、新技術の発展は他の分野でも必要であると思われます。

特に、発電した電気の蓄積に関する技術は、更に進歩することが期待されています。

案外、それは、身近なところにヒントが転がっているかも知れません。

リンゴの落下をみて、閃いた人がいたように全く関連のないことをしている人が、未来を快適なものへと、大きく変革できるヒントを、それと知らずにすでに手に入れているかも知れません。